LoqiRoam · 旅日記

水の音が曲がり角を決める日

二ヶ領用水から多摩川、生田緑地まで、曲がり角ごとに水・植物・食事・歴史・眺望をつないだ。

宿河原では、駅を出てすぐ目的地を決めなかった。まず二ヶ領用水の細い流れに沿い、橋を渡るたびに上流へ行くか戻るかを考えた。用水は町の中に静かに食い込み、桜の季節でなくても、水が道の向きを決めている。途中で川崎市緑化センターへ入り、温室の熱帯植物と季節の草花に寄り道した。緑の濃さに少し満足したところで、駅近くの店で昼を取り、旅の速度を落とす。そこから二ヶ領せせらぎ館へ向かうと、さっきまでの細い水路が多摩川の広い流れへほどけた。最後は生田緑地へ移動し、日本民家園の茅葺き屋根や水車小屋の間を歩く。昔の道は意外に曲がっていて、展示物を見るというより、暮らしの角を覗いている気分だった。締めくくりに枡形山へ上る。高い場所から振り返ると、今日は名所を一直線に集めたのではなく、水、葉、昼食、川、古い屋根という順に景色の厚みを変えていた。

この旅の足跡

  1. 細い水路の両岸に桜並木が続き、堰の近くでは水音が急に近くなる。花の季節でなくても、人工の水が町の角を選ばせる感じが面白い。
  2. 園内には四季の草花だけでなく温室の熱帯植物や、サクラソウ・ハナショウブの保存もある。駅から近いのに、角を一つ曲がると園芸の時間になる。
  3. 宿河原駅から徒歩5分の店で、定番と日替りのランチを出している。観光の看板より、地元の昼の気配に一度身を預けたくなった。
  4. 宿河原堰の管理所の一画にある小さな施設で、多摩川流域の学びや市民活動とつながっている。用水の細道から出ると、川は急に大きく見える。
  5. 東日本の古民家や水車小屋、船頭小屋、歌舞伎舞台まで移築展示され、道端には道祖神や道標も残る。建物より歩く順路そのものが昔の路地に見えた。
  6. 標高84メートルの枡形山にある展望台で、生田緑地の中でも高い場所にあたる。最後に上ると、今日選んだ曲がり角が一本の地図に戻っていく。
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