LoqiRoam · 旅日記
影がほどける四日市
萬古焼の産地から商店街、緑の中の茶室を経て、港の遠景へ光の変化を追った。
伊勢松本を出て、まず川原町へ向かった。駅を離れると、旅は観光地を順に集めるものではなく、光の質を替えていくものになった。萬古焼の会館では、急須や土鍋の輪郭に産地の時間が残り、近くの萬古神社ではその記憶が祭りと道へ戻っていた。そこから諏訪新道商店街へ歩くと、屋根が強い日差しを細い帯に切り分け、店先ごとに明るさが違った。諏訪公園では旧図書館の褐色の壁に木漏れ日が重なり、使われ続ける建物の静かな強さを感じた。泗翠庵で歩幅を落としたあと、公共交通で港へ移る。うみてらす14から見た工場群は、近くで見た器や商店街とは別の大きさで夕方を受け止めていた。小さな影を追っていたはずが、最後には水平線まで視界がほどけていた。
この旅の足跡
- 川原町駅から歩くと、萬古焼の急須や土鍋が産地の記憶を具体的にしていた。実用品の棚なのに、光が釉薬の差を静かに拾っていた。
- 萬古神社の周囲では、焼き物の祭りが開かれる理由が道の狭さにも残っていた。社殿の影は短く、陶器の町らしい硬い明るさがあった。
- 諏訪新道商店街は、近鉄四日市駅とJR四日市駅を結ぶ商業の道として発展した。屋根の下では、外の強い光が店先ごとに細く切れていた。
- 諏訪公園の一角に、旧市立図書館を使ったすわ公園交流館がある。褐色のタイルに木漏れ日が重なり、古い建物がまだ呼吸しているように見えた。
- 泗翠庵は鵜の森の緑の中にある茶室で、歩道の音が少し遠のく。茶を入れる所作を想像すると、午後の光までゆっくりになった。
- うみてらす14は四日市港を高い位置から見渡し、昼は鈴鹿山脈から名古屋方面まで視界が伸びる。遠くの煙突が夕色を受ける順番が面白い。