LoqiRoam · 旅日記

角をひとつ多く曲がる

ときわ台の住宅道から猪名川、黒川の里山、旧校舎の交流拠点、知明湖へ。人の手がつくる自然の表情を追った。

ときわ台を出たときは、駅の周りを少し歩けば十分だと思っていた。ところが住宅地の細い坂道に入り、猪名川へ向かう気配を拾うと、予定の輪郭がゆるんだ。そこから黒川へ足を伸ばした。菊炭の材料になるクヌギを人が周期的に伐り、森に斑模様をつくっていると知ると、里山は「自然」だけではなく、長い手入れの記録に見えてきた。旧黒川小学校を使った里山センターでは、本や工作の気配が山の中にあり、旅の速度がまた変わった。最後に知明湖の水面へ出ると、細い道で集めた音が空へほどけた。帰る方向は決めたのに、もう一度だけ別の角を曲がりたい気分が残った。

この旅の足跡

  1. ときわ台駅を出てすぐ、住宅の間に細い坂道が吸い込まれていた。駅名より先に、暮らしの音と曲がり角の多さがこの町を説明している気がした。
  2. 猪名川へ向かう道では、駅前の静けさが坂と川の気配に変わっていった。まっすぐ進めるのに、なぜか細い道を選びたくなる場所だった。
  3. 黒川では、茶会にも使われる菊炭のためにクヌギを周期的に伐るという、人の手が森の模様をつくる話に驚いた。自然なのに、少し建築的だ。
  4. 旧黒川小学校を活用した里山センターには、自然体験だけでなく本の閲覧や貸し出し、里山アトリエもある。山の中に小さな文化室が隠れていた。
  5. 知明湖の水面まで出ると、さっきまでの細かな道の記憶が急に遠くなった。散策や釣りもできる水辺なのに、今日は風の音だけが目立った。
  6. 黒川のクヌギ林は、伐採の時期がずれることで斑模様の景観になる。森を見ているのに、そこには時間割のような人の判断が刻まれていた。
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