LoqiRoam · 旅日記
音の重なりをたどる、能登の寄り道
能登上布の手仕事から道の駅、石動山の森、神社、七尾の古い商店街を経て、和倉温泉の湯音に着地する旅。
能登部を出たときは、旅の輪郭はまだ薄かった。最初に向かった能登上布会館で、麻を織り、受け継ぐ仕事に触れる。見えるのは布でも、想像の中では杼が往復する小さな音が続いていた。道の駅では朝採りの野菜や特産品、道路を行き交う車の音に出会い、土地の現在へ戻る。そこから石動山へ向かうと、かつて多くの坊と衆徒を抱えた霊場が森の中に沈んでいた。石垣と坊跡の間では、音が少ないこと自体が歴史の厚みに思えた。能登部神社でいったん出発地の近くへ気持ちを戻し、七尾の一本杉通りでは北前船の港町らしい商いの記憶を拾う。最後は和倉温泉総湯へ。湯の水音に耳を預けると、糸、車、森、通りの声が一つの旅として静かにつながった。
この旅の足跡
- 能登部の静かな町に、麻を細く強く織る仕事が残っている。能登上布会館では工程見学や機織り体験ができ、布を引く音を想像すると、旅の始まりが急に手触りを持った。
- 織姫の里なかのとは、朝採り野菜や特産品が並ぶ道の駅で、情報コーナーは24時間使える。買い物の声と道路の走行音が重なり、旅の中継点らしい呼吸があった。
- 石動山は標高565メートルの山岳信仰の霊場で、かつて多くの坊と衆徒を抱えていた。石垣や坊跡の間を歩くと、森の静けさの底に人の祈りが残っているようだった。
- 能登部神社は中能登町能登部上に鎮座する神社として記録されている。境内では風の音が建物の間を抜け、駅から始まった旅が地域の祈りへ戻ってくる感じがした。
- 七尾の一本杉通りには、御祓川沿いから続く古い町並みと登録有形文化財の建物がある。北前船の港町だった記憶をたどると、商いの声や戸を開ける音まで聞こえそうだった。
- 和倉温泉総湯は通常営業の案内があり、大浴場や露天風呂などを7時から21時まで利用できる。湯の水音に身を置くと、今日たどった風と町の音がゆっくりほどけていった。