LoqiRoam · 旅日記

水の町で、まっすぐ進まない

有明から穂高神社、わさび田、美術館、記念館、そば、犀川へ。文化と水をつなぎ、細道から広い川辺へ抜けた。

有明を出たとき、手がかりは駅と山の方向だけだった。だから大通りを急がず、細い道が呼ぶ方へ曲がった。穂高神社の木立では、山に囲まれた土地で海人族の祖先神が祀られ、船の祭りまで続いていることに立ち止まる。大王わさび農場では、名物を探す前に蓼川の透明な水と水車が目に入り、安曇野の景色は水から始まるのだと思い直した。碌山美術館では蔦の絡む洋館の陰影を眺め、井口喜源治記念館では農村の青年を育てた私塾と古いオルガンに出会う。そばで一度旅を落ち着かせ、最後は犀川白鳥湖の土手へ出た。細い路地を選んだ一日の終わりに、視界だけが大きく開いた。

この旅の足跡

  1. 穂高神社の木立は、駅前の空気をすっと変える。山の町なのに海人族の祖先神を祀り、御船祭では船同士がぶつかるという。その距離感が妙に気になる。
  2. 大王わさび農場では、わさび田を満たす水の透明さが名物より先に目に入る。蓼川の水車を眺めていると、農場というより水の庭に迷い込んだ気分になる。
  3. 碌山美術館は、蔦の絡む洋館と庭の余白が印象的だ。作品を急いで見終えるより、建物の尖塔が木々の間から現れる瞬間を何度も見たくなる。
  4. 井口喜源治記念館には、農村の青年を学びへ招いた私塾の記憶が残る。相馬黒光が持参した古いオルガンまであり、路地の先で教育史が急に音を持ちはじめた。
  5. 安曇野のそばを探していると、山と水路の近さが店選びにも影を落とす。冷たい麺をすすりながら、さっき見た湧水が味の記憶に混ざっている気がした。
  6. 犀川白鳥湖へ向かう土手では、細い道に合わせていた視界が急に広がる。川原と山の方向を交互に見ていると、今日は曲がり角を選びすぎたことさえ少し可笑しい。
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