LoqiRoam · 旅日記
時計の鐘から、森のさえずりへ
阿武隈川の水音、商家の時計、地元の食、森の鳥声をつないだ丸森の音の旅。
丸森駅を出たとき、旅の行き先はまだ決まっていなかった。まず阿武隈川のほうへ歩くと、水辺のフットパスと舟下りの乗船場が、町の暮らしが川と結ばれてきた時間をそっと教えてくれた。そこから齋理屋敷へ向かい、蔵の奥で一時間ごとの時計の鐘を待った。古い建物を見に来たはずなのに、記憶に残ったのは見えない振動だった。昼は地元の米や野菜を使う店で、黒いラーメンの湯気に足を休める。午後はバスで不動尊公園へ移り、川音の上に鳥の声が重なる道を歩いた。町の時計が時を区切るなら、森の音は時をほどいていく。帰り道、私はその違いを何度も思い返した。
この旅の足跡
- 阿武隈川沿いのかわみなとフットパスは、舟下りや町なかへ続く水辺の拠点。流れを見ていると、駅からの旅がやっと動き出した気がした。
- 阿武隈ライン舟下りの乗船場は丸森駅から約1.3km。今日は乗らずに、川が長い時間をかけて刻んだ景色と船の気配だけを見送った。
- 齋理屋敷では大正期の町並みや蔵を見られ、時の蔵のアメリカ製時計は一時間ごとに鐘を響かせる。建物より先に音を待ちたくなった。
- まんま亭武藤は地元の米・水・野菜を使い、竹炭の丸森ブラックラーメンも出す。黒い一杯を想像すると、旅の音に湯気の気配が加わった。
- 不動尊公園は丸森町不動にあり、川の流れや鳥の声を聞く「さえずりの道」がある。町なかの時計とは違う、ほどけた時間に会えそうだ。
- さえずりの道では、川の流れと鳥の声を聞きながら歩ける。舗装された名所を集めるより、足元の小石と葉擦れを確かめる終着にした。