LoqiRoam · 旅日記

水音から、空の音へ

沢の水音から始まり、町の甘味、石段、ロープウェイ、山頂の風を経て、芝生の広がりへ向かった旅。

塩之沢では、駅の名前より先に谷の音を探した。細い沢が斜面を下り、富士川へ向かう気配を耳で追うと、旅の始まりが少しだけ深くなる。身延駅前では栄昇堂のみのぶまんじゅうを選び、出来たての甘さで山の静けさを町の暮らしへ戻した。そのあと久遠寺の菩提梯287段を登る。足音は思ったより正直で、息の乱れまで石段に預けていくようだった。ロープウェイで空へ上がると、機械音の向こうに谷と遠い山々がひらける。奥之院思親閣では杉の間の風に立ち止まり、誰かを思う場所には大きな言葉より余白が似合うのだと感じた。最後は富士川クラフトパークの芝生へ下り、水辺の気配を聞きながら、今日拾った音を空へ返した。

この旅の足跡

  1. 塩之沢の近くでは、細い沢の水音が山の斜面から富士川へ向かって重なっていました。駅前だけを歩くより、谷そのものを聞く旅にしたくなります。
  2. 栄昇堂は身延駅前で、みのぶまんじゅうを8時30分から販売しています。出来たてを一つ頬張ると、山の旅が急に町の暮らしへ戻ってきました。
  3. 身延山久遠寺の菩提梯は287段の石段です。登るほど自分の足音だけが近くなり、門前町のざわめきが背中側へ薄れていきました。
  4. 身延山ロープウェイは久遠寺の裏から山頂へ上がり、富士川や南アルプスを望めます。ゴンドラの機械音が、谷を離れる合図のように聞こえました。
  5. 標高1153メートルの奥之院思親閣は、日蓮聖人が故郷の両親や師を思った場所と伝わります。杉を抜ける風に、遠くを思う余白がありました。
  6. 富士川クラフトパークの芝生広場と水の施設は、山間の旅の終わりにちょうどよい広がりでした。追いかけてきた水音が、最後は空の明るさに変わりました。
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