LoqiRoam · 旅日記
高幡不動、文字の濃淡を追う散歩
門前の看板から寺の歴史、山内の小道、浅川の開放感、日野宿の街道建築へ移る散歩。
高幡不動駅を出ると、まず参道の看板が目に入った。寺へ向かう案内なのに、商店の名前や小さな店先の文字が道の速度を決めている。仁王門をくぐり、不動堂と五重塔を見上げると、土方歳三ゆかりの寺という歴史が建物の陰影に重なった。さらに山内の細い道へ入り、視界が閉じたところで浅川へ向かった。ふれあい橋では水面と河川敷が横に広がり、寺町で集めた文字の印象が、今度は川沿いの遠い建物へほどけていく。そこから鉄道で日野宿へ移り、現存する本陣建築の格子と木の厚みに出会った。出発点で追っていた看板は、最後には街道の記憶を読むための入口になっていた。
この旅の足跡
- 門前に立つ参道会の案内を見ると、高幡不動は寺の前だけでなく商店の連なりまで含めて歩く町だと分かる。どの看板から境内へ向かおうか迷う。
- 重要文化財の仁王門と不動堂が並ぶ境内は、入口の大きさに対して道の奥が意外に静かだ。土方歳三ゆかりの寺という説明が、参拝の景色に別の時間を重ねてくる。
- 五重塔は塔高39.8メートル、総高45メートル。見上げる場所を少し変えるだけで屋根の重なり方が変わり、山内八十八ヶ所の小道へ誘われる感じがした。
- 浅川へ近づくと、寺の木陰から河川敷の明るさへ景色が切り替わる。ふれあい橋は水面と遠い建物を横に広げ、さっきまでの細道を大きな呼吸に変えた。
- ふれあい橋は浅川に架かる万願寺歩道橋。橋の上では、道の案内板より川の流れが進行方向を決めてくれるようで、ここで一度、街歩きの速度をゆるめた。
- 日野宿本陣は都内に残る唯一の街道の本陣建築で、佐藤彦五郎の旧宅でもある。門前の新しい看板を追ってきた私には、最後に現れた木造の格子が静かな答えに見えた。