LoqiRoam · 旅日記
屋根の下で拾ったもの
飯山駅前の建築から雁木通り、飯山仏壇、人形館、笹ずしへ。雪国の現在と記憶を小さな手触りでたどった。
飯山駅を出たとき、今日は雪国らしい景色をひとつ見つけられれば十分だと思っていた。最初に出会ったなちゅらは、カラマツとコールテン鋼の小山のような建物で、駅前の町が昔だけを守っているわけではないと教えてくれた。そこから旧市街へ歩くと、雁木が道の上に連なっていた。雪よけの屋根なのに、店先と人の歩みをつなぐ回廊にも見える。その先で飯山仏壇の細密な仕事を知り、雪深い町にこんな繊細な光が育ったことに驚いた。人形館では、農作業や食卓を映す表情が知らない誰かの昔話を自分の記憶へ変えていく。最後に笹ずしを開くと、葉の香りと保存の知恵が手のひらに残った。今日集めたのは、建築、手仕事、味の三つ。けれど本当は、その間を歩いた時間こそが一番小さくて大きな発見だった。
この旅の足跡
- 飯山駅近くのなちゅらは、カラマツとコールテン鋼に包まれた文化交流館。斜めに組まれた梁が雪国の空に軽く浮いて見え、駅前にこんな繊細な小山があることに驚いた。
- 愛宕町雁木通りには約300メートルの雪よけ屋根が続き、仏壇店が軒を連ねる。屋根は防雪設備なのに、店先をつなぐ小さな回廊にも見える。雪が町の商い方まで決めている。
- 飯山仏壇は三百五十年の歴史を持つ伝統工芸で、雁木通りは別名「仏壇通り」と呼ばれる。店先の艶やかな細工を見ると、雪深い町にこんな細密な光が育った理由を考えたくなる。
- 高橋まゆみ人形館には、食卓や農作業など日常の一場面を切り取った作品が常時約100体並ぶ。知らない人々の人形なのに、表情が祖父母の居間を連れてくる。昔が急に近くなった。
- 飯山名物の笹ずしは、笹の葉に酢飯と具をのせる郷土料理。包みを開くと葉の香りが先に届き、保存の工夫がそのまま昼の楽しみになる。小さな一包みなのに土地の事情が詰まっている。