LoqiRoam · 旅日記
川風に押されて、裏道へ
江戸川の風を起点に、柴又の味と参道、裏道、善養寺の大樹、水辺の余白をつないだ寄り道の旅。
江戸川の起点では、まず水の向きを見た。予定を立てるより、風が草を倒す方向へ歩くほうが今日は正しそうだった。川辺を離れると柴又の草だんごに呼び止められ、参道の木造店や小さな品書きを眺めた。そこから観光の流れを一歩だけ外れると、道幅が変わるだけで町は生活の声を取り戻す。善養寺では、境内を這うように広がる影向の松の影に足を止めた。商店街のざわめきが背後へ沈んでいく。そのまま緑地を抜け、最後は江戸川放水路の広い空へ。曲がり角を選ぶ旅は、遠くへ行くことより、見え方を何度も変えることなのかもしれない。
この旅の足跡
- 江戸川の河川敷は通過点のつもりだったのに、風で草が一斉に伏せるたび、対岸の輪郭まで近づいた気がした。晴れているのに水面は少し曇っていた。
- 柴又の草だんごは甘さより餅の弾力が先に来た。参道の木造店を眺めると、観光の顔と昔の門前町の顔が同じ軒下に並んでいて面白い。
- 帝釈天へ続く約200メートルの参道は、せんべいや飴、川魚料理の店が軒を連ねる。その賑わいから一本外れると、急に暮らしの音へ戻るのが不思議だった。
- 善養寺の影向の松は境内を這うように広がり、日本一の名松をめぐる逸話まで残る。大きな影の下では、さっきの商店街の音が遠い出来事になった。
- 河川敷の緑地では、ベンチの向きが景色を教えてくれた。座ると川面より先に空が広く見え、歩く目的が『次へ行く』から少し外れていった。
- 江戸川放水路の河川敷は散歩などに自由利用できる。夕方の水辺では水鳥の動きだけが細かく、遠くの建物は薄くなる。曲がり角の先に、かなり大きな余白があった。