LoqiRoam · 旅日記

野田から、曲がり角の向こうへ

野田の藤の記憶から、信仰、トンネル路地、貨物線跡、市場、水辺へ歩いた寄り道の旅。

野田の座標から歩き始めたとき、最初から目的地を決める気分ではなかった。藤の名で知られる春日神社の小さな祠を見て、花の名所というより、失われた景色を町の人が何度も植え直している場所なのだと知る。野田恵美須神社では古い年号の石に出会い、次の角では屋根が道を覆う短いトンネル路地に吸い込まれた。そこから野田緑道へ出ると、今度は人の足ではなく貨物列車が市場へ向かった線の記憶が現れる。中央卸売市場の大きさに少し圧倒されたあと、安治川沿いへ抜けて視界をほどいた。寄り道ばかりだったのに、最後には花、信仰、路地、物流、水辺が同じ町の別々の呼吸に思えた。

この旅の足跡

  1. 小さな祠と藤棚を見つけた。ここが野田藤発祥の地とされ、古木そのものは消えても、石碑と育成の気配が残っているのが不思議だ。
  2. 野田恵美須神社の境内には、永久3年と刻まれた石がある。漁業の神を祀った場所が、今は住宅街の奥で静かに息をしている。
  3. 屋根が道の上を覆う、長さ10メートルにも満たないトンネル路地。民家と薬屋の間を抜けるだけなのに、街が一瞬だけ秘密基地になる。
  4. 野田緑道は、かつて中央市場へ鮮魚や青果を運んだ貨物線の跡。線路は消えたのに、カーブの向こうへ荷物が流れていた感じだけが残っている。
  5. 大阪市中央卸売市場本場は青果や水産物を扱う大きな市場。見学は予約制で午前集合、今日は外からでもトラックと食の流れに圧倒された。
  6. 市場の西側から安治川沿いへ抜けると、建物の密度がふっとほどける。船着場と緑道の気配を見て、野田は水の上に浮かぶ町だったのだと想像した。
地図と足跡で読む