LoqiRoam · 旅日記
赤い坂、水の町、知らない角
JR藤森の生活道から藤森神社、伏見稲荷の山道、四ツ辻、墨染の茶房、伏見の酒蔵へ。赤い景色を水と発酵の余韻へつないだ。
JR藤森を出たとき、まず選んだのは目立つ観光地へ向かう道ではなく、住宅の間を抜ける細い道だった。駅周辺の静かな生活感を少し眺めてから藤森神社へ入ると、御所ゆかりの本殿、不二の水、馬の像が同じ境内に重なっていた。そこから伏見稲荷へ向かい、千本鳥居の赤に包まれる。けれど今日は鳥居の数を数える旅ではない。山道の分岐で気分の向く方へ進み、四ツ辻まで登って、息の上がった身体ごと京都の街を見返した。下山後は墨染の商店街へ寄り、表通りから路地奥の茶房へ曲がって甘味で休む。最後は伏見の酒蔵へ向かった。神社の水、山の空気、茶の温度、酒造りの町。まっすぐ歩かなかったからこそ、土地の記憶が赤から透明へ変わっていく順番を味わえた。
この旅の足跡
- 駅を出てすぐ名所へ急がず、細い南北の道を選んだ。住宅の間を抜ける風が思ったより静かで、最初の角が旅の速度を決めた気がする。
- 藤森神社では、御所から賜った本殿や、地下約100メートルから湧く不二の水に出会える。古社なのに馬の像まであり、境内の時間が一方向ではない。
- 伏見稲荷の千本鳥居は入口だけで終わらず、稲荷山のお山めぐりへ続く。赤い列の途中で脇の坂を選ぶと、観光の反復が急に自分の歩幅になる。
- 四ツ辻まで上がると、鳥居の赤に囲まれていた視界がほどけ、京都の街を見返せる。息切れは少し意外だったが、坂道が景色の奥行きを作っていた。
- 墨染ショッピング街の椿堂茶舗には、路地奥の茶房竹聲がある。商店街の表情から一歩引いて抹茶と自家製和菓子に向かう道が、妙にこの旅らしかった。
- 月桂冠大倉記念館では、伏見の酒造りの歴史と道具が町の白壁に収まっている。山で見た赤い鳥居の記憶が、最後には水と発酵の静かな物語へ変わった。