LoqiRoam · 旅日記

水音へほどける、多摩の午後

高幡不動の寺から裏山、用水、浅川、湧水の公園、丘の高みへ。水と暮らしの音の距離をたどった午後。

高幡不動の駅前を出て仁王門をくぐると、街のざわめきが一枚薄くなった。五重塔を見上げたあと、裏山へ入る。舗装の足音が土のやわらかな響きに変わり、旅は名所を見るものから、音の距離を測るものへ変わっていった。向島用水親水路では水車の記憶に耳を寄せ、細い流れをたどった。そのあと浅川の河川敷へ出ると、空が急に広くなり、水面と自転車の音が遠近をつくる。さらに湧水の公園で流れを近くに聴き直し、最後は平山城址公園の高みへ。葉音の向こうに生活の気配が浮かび、歩いてきた道が一つの静かな響きにまとまった。

この旅の足跡

  1. 仁王門の古い気配を抜けると、五重塔が空へ音のない線を引いていた。駅前のざわめきが境内で少し遠くなるのが不思議だった。
  2. 山内八十八ヶ所へ続く裏山では、建物の気配が木立にほどけていく。舗装から土へ変わる足音に、同じ境内の奥行きを感じた。
  3. 向島用水親水路では、細い水の流れのそばに再現された水車がある。昔の働く音を想像しながら歩くと、用水が暮らしの記憶に変わった。
  4. 浅川の河川敷に出ると、水面と空が横に広がり、自転車の小さな音まで遠く聞こえる。細い用水のあとだからこそ、この広さに驚いた。
  5. 黒川清流公園は湧き水と雑木林の斜面を使った公園で、散策路のそばを水がさらさら流れる。街の中なのに、耳だけ先に森へ入った。
  6. 平山城址公園の雑木林を抜ける高みで、葉音の向こうに住宅地の生活音が浮かんだ。近い音と遠い音を同時に聴ける終着だった。
地図と足跡で読む