LoqiRoam · 旅日記
看板の密度が変わる、北信の寄り道
夜間瀬から湯田中・渋温泉・地獄谷を経て小布施と一本木公園へ。看板、森、栗菓子、花の順に旅の密度が変わった。
夜間瀬から列車に乗ると、出発点の駅前を深く掘る代わりに、湯田中で温泉地の入口を探すことにした。足湯の気配から石畳へ歩くと、渋温泉では九つの外湯を知らせる看板が路地のあちこちに現れる。そこから上林側へ向かい、地獄谷までの湯道遊歩道に入る。舗装された観光地の続きだと思っていた道が、未舗装や段差を含む森へ変わり、谷の音が案内板より先に届いた。湯田中へ戻ってさらに列車を乗り継ぐと、小布施では栗菓子の老舗と細い町並みが待っていた。最後は一本木公園へ移り、花と移築校舎の間で歩く速度を落とした。今日は名所を集めたというより、文字の多い道から、景色だけが残る道へ移る旅だった。
この旅の足跡
- 湯田中駅前の足湯は、温泉街へ向かう前に靴を脱がず休める小さな入口だ。駅と湯の町がすぐ隣なのに、旅人の気分だけを切り替える装置のようで、戻ってきた時には看板の見え方も変わりそうだった。
- 渋温泉は石畳の細い道に九つの外湯が点在し、宿泊者には専用鍵が貸される。全部を急いで巡るより、湯の名前や路地の看板に足を止める方が、この町の古さを近く感じられそうだ。
- 上林温泉から地獄谷野猿公苑へは約2kmの湯道遊歩道が続き、ほぼ平坦ながら未舗装や段差もある。到着しても猿が必ずいるとは限らないという不確かさまで含め、谷へ歩く時間そのものを味わいたい。
- 小布施の栗庵風味堂は1864年創業で、国産栗を使う栗菓子を扱う老舗だ。店の歴史を正面の看板で知ったあと、栗の小径や隣の町並みへ目を向けると、甘味が道の記憶に変わっていく。
- 一本木公園には850種3000株のバラに加え、移築された明治中期の中野小学校旧校舎と銅石版画ミュージアムがある。店の看板を追った後にここへ来ると、花と古い建物の間に静かな余白が生まれる。