LoqiRoam · 旅日記
朱色のあとに、水の青
墨染の生活色から伏見稲荷の朱、酒蔵の白と茶、水辺の青へ。歩いて町の色の変化を集めた。
墨染では、まず商店街の看板や自転車を眺めた。旅の始まりを大きな名所にせず、町の一日がどんな色で始まるのか探したかったからだ。歩いて伏見稲荷へ向かうと、景色は一気に朱色へ変わった。千本鳥居の赤は同じように見えて、森の明るさや鳥居の間隔で少しずつ表情が違う。奥社奉拝所では、おもかる石の話に出会い、派手な色の奥にある静かな信仰へ気持ちが向いた。山を下りると、月桂冠大倉記念館と酒蔵通りの白壁、黒格子、茶色い樽が現れた。和菓子の淡い色でひと休みして、最後は十石舟のりばへ。堀川の青い水面を見ていると、今日集めた色はばらばらではなく、伏見の水でつながっていたように思えた。
この旅の足跡
- 墨染ショッピング街は、駅前の店や自転車がつくる生活の色から始まる。観光地らしい派手さより、町の一日は何色で始まるのかが気になった。
- 伏見稲荷大社の千本鳥居は、朱色が森の明るさで濃く見えたり薄く見えたりする。鳥居の裏に奉納者の名が並ぶのを見て、色にも持ち主がいるのだと驚いた。
- 奥社奉拝所には、願い事の成否を重さで試すおもかる石がある。朱色の列が途切れた先で、石の重さを想像すると、山の静けさまで少し身近になった。
- 月桂冠大倉記念館は、伏見の酒造りを伝える展示と酒蔵の落ち着いた景観が魅力。朱色のあとに見る白壁や木の道具は、水で洗ったように淡く感じられた。
- 伏見の酒蔵通りは、黒い格子、白壁、茶色い樽が短い距離に重なる。派手ではないのに通り全体が古い写真のようで、自然に歩く速さがゆっくりになった。
- 伏見の和菓子店では、季節の菓子の淡い色が小さな箱に並ぶ。酒蔵の重い茶色を見たあとだから、ひと口ぶんの色が急に近く感じられてうれしい。
- 十石舟のりばは、酒蔵の壁と水面が並ぶ伏見らしい終着点。運航は季節や天候で変わるけれど、舟がいない時間も風が水を返し、茶色の町に青を足していた。