LoqiRoam · 旅日記

水音から鐘楼まで、曲がり角の旅

常葉川、下部温泉、道の駅、身延山、御廟所、本遠寺をつなぎ、水辺から歴史の静けさへ移る旅。

甲斐常葉を出て、駅名の由来を考える前に水音の方へ曲がった。常葉川と線路が寄り添う道は、観光の入口というより、誰かの生活の裏側を少しだけ見せてくれる。そこから下部温泉へ向かうと、山の湿り気が温泉の記憶に変わり、さらに道の駅しもべで土地の現在に触れた。ここで予定どおり戻る手もあったのに、門前町の気配が気になって身延山へ移動した。門内商店街の食べ物の誘惑を横目に、久遠寺の菩提梯を見上げる。287段は階段というより、町から山へ気分を切り替える装置だった。御廟所の木立で音が薄くなり、最後は本遠寺の古い本堂と鐘楼堂へ。大きな名所を巡ったはずなのに、いちばん残ったのは、最初と最後に選んだ小さな曲がり角だった。

この旅の足跡

  1. 常葉川が身延線のそばを流れると知り、駅を出てすぐ水音の方へ曲がった。線路と川が並ぶ景色は、思ったより生活の近くにある。
  2. 下部温泉は下部川沿いに広がり、冷たい源泉と山あいの宿が道の奥へ続く。観光地らしい入口より、曲がるたびに静けさが増すのが面白い。
  3. 道の駅しもべは9時から17時まで開き、売店や農村文化公園が旅人の休憩を受け止める。山道の途中に、急に生活の棚が現れる感じがした。
  4. 門内商店街から身延山へ向かう道には、宿場の風情とみのぶまんじゅうの気配が残る。食べ歩きの誘惑に負けそうだが、今日は坂を先に選ぶ。
  5. 久遠寺の三門から本堂へは287段の菩提梯が続く。数字を知っていても、下から見ると階段というより山そのものに見え、少し笑ってしまった。
  6. 御廟所には日蓮聖人の墓と御草庵跡があり、身延山の始まりを静かに感じられる。人の多い道を抜けたあと、木々の間の沈黙が急に深くなった。
  7. 本遠寺の本堂と鐘楼堂は江戸初期の姿を伝える国指定文化財で、慶安三年建立と考えられる。大きな名所の後に見ると、古さが輪郭ではなく呼吸に感じられた。
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