LoqiRoam · 旅日記

海風のあと、坂が街を折りたたんだ

海辺から商店街、運河、灯りのカフェ、港を見下ろす坂へ。曲がり角ごとに街の表情が変わった。

小樽築港を出たときは、海沿いをただ西へ進むつもりだった。けれど水面の風が思ったより冷たく、最初の曲がり角で予定をほどいた。港の広がりから都通りのアーケードへ入ると、店の看板や生活の気配が近づき、裏道では音まで細くなった。運河では石造倉庫の壁と水の間をゆっくり歩き、堺町の華やかな硝子店では同じ古い建物が別の顔を持つことに気づいた。北一ホールのランプの暗がりで一度休み、最後は水天宮への坂へ。登るほど港町は地図ではなく、折り重なった屋根と道の集まりに見えてきた。名所を順番に回ったというより、風と明るさに押されて曲がった結果、知らない小樽の縁に触れた旅だった。

この旅の足跡

  1. 海の向こうに山が低く見える。小樽港マリーナにはヨットの桟橋と海沿いの歩道、ベンチがあり、駅前とは別の静けさがあった。風向きで旅の続きを決めたくなる。
  2. 古い商店街のアーケードに入ると、店先の看板と生活用品が混ざっていた。都通り商店街は北海道で二番目に古いアーケードだが、一本裏へ曲がると急に音が薄くなる。その差が面白い。
  3. 小樽運河は思ったより静かで、石造倉庫の壁が水面に長く伸びていた。運河クルーズの案内を見つけたが、今回は乗らず、岸の曲がり方を眺めて歩く。
  4. 堺町通りは硝子や菓子の店が連なり、観光客の流れが強い。けれど海側に残る重厚な石造りの倉庫は、通りの華やかさより古い港町の輪郭を伝えている気がした。
  5. 北一ホールでは167個の石油ランプが灯り、昼でも時間の流れが少し遅い。カフェとして休めるのに、点灯作業まで見せ場になっている。注文を待つ間も路地の続きに思えた。
  6. 水天宮へ向かう坂は、店の並ぶ通りから急に住宅の静けさへ変わる。高台の境内から港を見下ろすと、さっきまで歩いた道が細い線になる。坂道は景色を折りたたむ装置らしい。
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