LoqiRoam · 旅日記
石の記憶を、海の音でほどく
波田須の古道から茶屋、鬼ヶ城、花の窟、七里御浜を経て、柑橘の休憩へ。歴史・信仰・海の音がゆるやかにつながった。
波田須駅を出ると、まず古道の石畳が待っていた。鎌倉期のものとされる巨石の道は短いのに、杉の影と足元の苔が時間をゆっくりにする。そこから徐福茶屋へ寄り、伝説の土地でみかんジュースの明るい香りをひと口。遠い物語が急に手のひらへ戻ってきた。次に鬼ヶ城へ移ると、波に削られた岩壁が景色を一変させる。荒々しい海を見たあと花の窟へ向かい、社殿ではなく高さ約45メートルの岩そのものが御神体だと知る。自然を眺める旅が、いつの間にか自然へ向き合う旅になっていた。最後は七里御浜の小石を踏む。砂とは違うカラコロという音が足元から返ってきて、道の駅では海を眺めながら柑橘と地元の味を拾った。古道、岩、音。この三つの小さな発見が、一本の海辺の午後になった。
この旅の足跡
- 鎌倉時代のものとされる巨石の石畳が、海を望む斜面に短く残っている。古道は険しいと思っていたのに、苔と杉の間を歩くと足音まで古く聞こえた。
- 徐福茶屋では珈琲や100%みかんジュースを扱うと紹介されている。伝説をたどったあとに、果汁の明るい香りで急に現在へ戻る感じが面白い。
- 鬼ヶ城の遊歩道では、熊野灘に削られた岩壁の凹凸が次々に現れる。自然のはずなのに巨大な舞台装置のようで、静かな波田須との落差に目が覚めた。
- 花の窟は高さ約45メートルの巨岩そのものを御神体とし、社殿がない。建物を探す視線が岩へ吸い寄せられ、祈りの形が想像よりずっと大きいことに驚いた。
- 七里御浜は約22キロ続く日本最長級の砂礫海岸で、丸い小石が波に磨かれている。砂浜のつもりで歩くと、足音がカラコロ変わり、海岸そのものが楽器になった。
- 道の駅パーク七里御浜は海岸の目の前にあり、地域の魚介や畑の幸、みかんジュースを楽しめる。景色を眺めて終わらず、柑橘の香りで旅が台所へ着地した。