LoqiRoam · 旅日記
雨粒の音量で歩く
黒姫の森から童話、発掘の記憶、湖畔、いもり池の休憩へと、雨の日の静かな変化をたどった。
黒姫を出たとき、旅はまだ山の名前だけを持っていた。御鹿池へ向かうと、スギとカラマツの間に雨の音が沈み、道は目的地へ急ぐ線ではなく、水が低い方へ進むための形に見えてきた。童話館では、森で見た枝や霧の印象が物語の展示と重なった。そこから野尻湖へ移り、ナウマンゾウの復元像と発掘資料を見ていると、いま静かに揺れている湖の下にも、途方もない時間が積もっていることに気づいた。湖畔では船を選ばず、岸の風と水面を歩いて確かめた。最後に妙高側のいもり池へ寄り、窓辺で温かい飲み物を待った。旅の終わりに残ったのは大きな絶景ではなく、森、展示、水、雨がそれぞれ別の音量で存在していたという感覚だった。
この旅の足跡
- 御鹿池の周囲にはスギやカラマツの森が広がり、標高760〜880メートルの斜面に静かな散策路が続く。水面より、雨を受けた林の奥行きに先に目を奪われた。
- 黒姫童話館はエンデや松谷みよ子の資料、世界の童話や信州の昔話を展示している。森を歩いた直後は、展示の物語が風景の続きのように感じられた。
- 野尻湖ナウマンゾウ博物館では、実物大の復元像や発掘資料から湖の古い環境を知ることができる。現在の静かな湖面の下に、これほど厚い時間があることに驚いた。
- 野尻湖畔の散策コースは博物館や水戸口公園、発掘地を結び、湖を歩いて眺められる。遊覧船の情報もあるが、雨の日は岸から見る水面の細かな揺れが印象に残った。
- いもり池の周囲には遊歩道があり、湿生植物や白樺の林を観察できる。妙高高原ビジターセンターには自然や地形の展示もあり、池を眺めながら知識と景色を行き来できる。
- 妙高高原ビジターセンター内のカフェは9時から17時まで営業し、窓から妙高山といもり池を眺められる。温かい飲み物を待つ時間に、雨そのものが旅の景色になった。