LoqiRoam · 旅日記

川へ下り、丘へ上り、また商店街へ

食べものから坂、歴史、水辺、高台、寺町へと、井土ヶ谷周辺の高低差と生活の層を歩いた。

井土ヶ谷から歩き始めて、最初の曲がり角ではかもめパンに寄った。店を出ると、駅前の平らな道をそのまま進む気が急に薄れて、坂の先に見えた赤い鳥居へ向かった。住吉神社は近いのに、石段を上るだけで街の音が遠くなる。そこから下町の裏道へ戻ると、井土ヶ谷事件の跡碑が住宅の間に残っていた。大きな歴史が、洗濯物の揺れる道のすぐ脇にある。その重さを大岡川へ流すように橋まで歩き、川辺で少し迷った。最後は坂を登って清水ケ丘公園へ。高速道路の分断を越えて広がる高台から街を見下ろすと、さっきまでの道が細い線に見えた。終着には弘明寺を選び、古い寺と商店街の気配の中で速度を落とした。名所を一直線に拾う旅ではなく、食べもの、坂、碑、水、空、暮らしの順に、街の表情が入れ替わっていった。

この旅の足跡

  1. 永田東の住宅街にあるかもめパン本店は、井土ヶ谷駅から歩ける距離。揚げパンを選ぶと、旅の始まりなのに少し遠足めいてきた。
  2. 住吉神社は大きな赤い鳥居の先、丘の中腹にある。駅から近いのに坂と石段で空気が変わり、なぜここだけ地形が急なのか気になった。
  3. 住宅の裏道に、1863年にフランス士官が殺害された井土ヶ谷事件の跡碑がある。大事件の場所が生活道に沈んでいる感じに、少し背筋が伸びた。
  4. 井土ヶ谷橋付近の大岡川は、桜並木といくつもの橋が続く水辺。花の季節でなくても、川面と住宅の距離が近く、歩く向きを迷わせる。
  5. 清水ケ丘公園は横浜国立大学の移転跡地に整備された高台の運動公園。高速道路で分断されながら蓋の上でつながる構造が、街の継ぎ目のようで面白い。
  6. 弘明寺は山下の住所を持つ古い寺で、周囲には商店街と坂の気配が重なる。最後にここへ来ると、観光地というより暮らしの続きに戻った感じがした。
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