LoqiRoam · 旅日記
水の線、城山の坂、池の余白
麻名用水から神社、城山、潜水橋、田園の池へ、水が形を変える川島の道を歩いた。
阿波川島から歩き始めると、最初に目に入ったのは観光地らしい門ではなく、田園へ水を送り出す麻名用水の気配だった。川の水が農地の時間へ変わる場所を見てから、城山へ向かう。川島神社では、いくつもの社が合祀された背景と、洪水の中でも残る浮島の伝承が重なり、道の看板ひとつにも土地の記憶が潜んでいるように思えた。川島城の高台では善入寺島と吉野川が大きく開け、そこから川島潜水橋へ下りると、今度は水面の近さに足元の感覚が変わった。最後は田園の細道を折れながら大正池へ。大河の壮大さのあとに見る小さな池は、旅を縮めるのではなく、暮らしの水へ戻してくれた。
この旅の足跡
- 堤防の向こうで、明治期から続く麻名用水が吉野川の水を引き込む。コンクリートの取水口なのに、田園の風景を動かす心臓のように見えた。
- 川島神社は四十余社を合祀して生まれた社で、かつての浮島八幡宮の話も残る。境内の静けさに、洪水と暮らした人々の工夫を想像した。
- 川島城は阿波九城の一つとされ、城山には遊歩道や万葉植物園もある。模擬天守より、吉野川と善入寺島が開ける高台の余白に驚いた。
- 川島潜水橋は善入寺島へ渡る細い橋で、お遍路道にも重なる。欄干のない道を想像すると、川が道路になったり消えたりする不思議さが残った。
- 大正池は川島の田園ウォークの終盤にある親水公園で、浮き桟橋が目印になる。大河を見た後だからこそ、小さな池の水面が近く感じられた。
- 麻名用水は城山をトンネルでくぐり、田園へ流れ続ける。地図では一本の線でも、現地では道端の水音と細い看板が旅の方向を決めてくれそうだ。