LoqiRoam · 旅日記

影の輪郭を、川辺まで

亀有の商店街から曳舟川親水公園、江戸川、矢切の渡し、柴又帝釈天、山本亭へ。人工の影が水と空に薄まり、最後は庭の静けさへ戻る小旅行。

亀有を出て、まずゆうろーどの軒先を歩いた。五つの街区に分かれた商店街では、食べものや喫茶の気配が明るい通りをつくる一方、看板の下には細い影が残っていた。曳舟川親水公園へ入ると、旧葛西用水の記憶を受け継ぐ水路が、街の輪郭を少しずつほどいていく。ウッドデッキのそばで水と草の影を眺めてから、柴又公園を抜けて江戸川の土手へ出た。そこでは建物の影が薄くなり、風に揺れる草と雲の明るさが前に出る。矢切の渡しの船が川面を横切ると、岸の境界まで一度消えた。帰り道は柴又帝釈天の参道へ。石畳と軒先の夕影、帝釈堂の木彫の細部を追い、最後は山本亭の庭に沈む静けさへ向かった。影を探しに出たはずが、最後に見つけたのは、明るさの中にも余白があるということだった。

この旅の足跡

  1. ゆうろーどは亀有駅から続く五つの街区の商店街で、食料品店や喫茶店など生活の店が並ぶ。看板と軒先の影を追うと、観光地より先に街の呼吸が見えてくる気がした。
  2. 曳舟川親水公園は旧葛西用水の面影を残し、亀有から四つ木まで約3km続く。水路に近づけるウッドデッキでは、欄干や草の影が水の気配と一緒に揺れていた。
  3. 柴又公園と江戸川河川敷の連続した景観は、街の高低差を越えて川へ視線を導く。土手に立つと建物の影が薄れ、草の揺れと雲の明るさだけが妙に大きく感じられた。
  4. 矢切の渡しは江戸川に今も残る手漕ぎ舟の渡し場で、川面を横切る船が岸の影を一度ほどいていく。渡らずに見ているだけでも、こちら側と向こう側の距離が動くのが不思議だった。
  5. 柴又帝釈天の参道から境内へ進むと、石畳と木造の軒先の明暗が重なっていく。帝釈堂には法華経を題材にした十枚の胴羽目彫刻があり、夕方の影が木目の細部を静かに浮かべていた。
  6. 山本亭は柴又帝釈天の近くにある歴史的建造物で、庭を眺めながら午前9時から午後5時まで過ごせる。外の強い光を離れ、庭の植栽がつくる静かな影に午後を預けたくなった。
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