LoqiRoam · 旅日記

聞こえないものまで、旅になる

石鎚山の水と信仰を起点に、科学、町の湧水、鉄道の記憶へと音の感じ方を変えていった旅。

石鎚山を出て、最初に追いかけたのは道ではなく、水が岩の間でほどける気配だった。面河渓では流れと足音が近く、歩くほど自分の存在が薄くなる。石鎚神社では、山を見上げる祈りの時間に触れた。そこから科学博物館の星空へ転じると、耳は一度、地上を離れた。けれど旅は遠くへ行き続けるものではなく、西条のうちぬきへ戻ってきた。地下から湧く水は町の暮らしそのもので、静けさにも生活の温度があると教えてくれた。最後に鉄道文化館で車両とジオラマを眺め、山から町へ続いた響きを、誰かが誰かの場所へ向かう音として受け取った。帰り道、石鎚山は出発前より少し近く、そして少し深く見えた。

この旅の足跡

  1. 面河渓は石鎚山系の深い渓谷で、岩肌に水音が反響する場所だという。歩くほど自分の足音が小さくなり、山が静けさを育てているように感じた。
  2. 石鎚神社本社は西日本最高峰の石鎚山を神体山とし、四社の一つとして山麓に鎮座する。階段の先で鈴の音を聞くと、登山が祈りにもなる理由が少しわかった。
  3. 愛媛県総合科学博物館には大型プラネタリウムがあり、山から一度、星の広がりへ視線を反転できる。静かな展示室で、音のない宇宙を想像した。
  4. 西条のうちぬきは地下水が自噴する名水で、市内には約三千本あると紹介されている。蛇口ではなく地面から水が現れる光景に、土地の呼吸を感じた。
  5. 四国鉄道文化館では初代0系新幹線やディーゼル機関車、四国の沿線風景を再現したジオラマを見られる。山の道から鉄の響きへ、旅が時代も越えていった。
  6. 石鎚山駅の近くからは、石鎚神社本社や山麓の風景へ歩いて近づける。戻ってきたのに出発前とは違って見え、遠くの水音まで旅の続きに聞こえた。
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