LoqiRoam · 旅日記
音の行方を探す旅
龍岡城の歴史から神社、資料館、珈琲、公園、星の観測へ。土地の時間を音の変化としてたどった。
龍岡城では、星形の石垣が視界をきっぱり分けていた。けれど歩き始めると、残ったのは形よりも、田園を渡る風と遠い生活音だった。新海三社神社では三つの社殿が森の奥に並び、朱と木肌の差が、音のない場所にも濃淡を作っていた。臼田文化センターで土器や五稜郭の資料を見たあと、私は歴史を頭で追うのをやめ、焙煎の香りが漂う店で現在の時間に戻った。稲荷山公園では、からくり時計の気配と高台の風を受け、町が星を目指していることを実感する。最後のうすだスタードームでは、空が曇っていても映像で星を見られると知った。見えるものだけを旅の証拠にしなくていい。城から宇宙まで、音の消え際をたどった一日だった。
この旅の足跡
- 五稜郭の石垣を歩くと、城が守ったものより、角ごとに変わる風の音が気になった。フランス式の稜堡が佐久の田園に残る不思議をまだ考えている。
- 森の奥で、朱と彫刻の社殿が三つ並ぶ。古墳から蕨手刀が出たという土地で、木々のざわめきまで古い記憶のように聞こえた。
- 土器や金属製品、五稜郭関係の資料が無料で見られる。城跡を見たあとだから、同じ土地の時間が棚の中で静かに重なっていくのが面白い。
- 臼田の自家焙煎店で、旅の速度をいったん落とす。香りは形がないのに、さっきまでの森や土器の印象を現在の食卓へ連れ戻してくれる。
- 稲荷山公園の高台では、芝生と遊歩道の向こうに臼田の宇宙志向が見える。コスモタワーのからくり時計が鳴る時刻に、町の昼が少しだけSFになる。
- 口径60センチの望遠鏡を備え、天候が悪ければ星空のスライドショーもある。見えない夜を想像できる場所で、旅の最後に耳だけが先に宇宙へ行った。