LoqiRoam · 旅日記

川音の先で、三つの小さな発見

入野から河内の食、近代建築、水辺、民具、古民家、峡谷をつなぎ、暮らしの中の発見を集めた。

入野から始めた旅は、駅前の静けさを抜けて、まず一皿の驚きに出会った。野菜の気配が濃いランチで身体を起こし、次に見つけたのは、山中に佇む石造りの旧発電所本館。大正の電気がこんな場所から町へ流れていたのかと思うと、道の見え方まで少し変わる。河内発祥公園では椋梨川の流れに足を止め、桜や鮎つかみを受け止めてきた水辺の明るさを感じた。そのあと旧宇山小学校の教室で、農具や製糸道具を眺める。土地の記憶は大きな記念碑より、手の形が残る道具のほうに近い。最後は古民家カフェでひと息つき、深山峡の岩と緑を思い出した。食、建物、川、道具、そして今の休憩。三つの発見を集めるつもりが、町の時間そのものを小さく持ち帰る旅になった。

この旅の足跡

  1. 入野の山あいに、ミンチ料理とコーラソースの組み合わせを見つけた。野菜も広島県産だそうで、駅前の静けさから急に食卓の気配が濃くなるのが面白い。
  2. 中河内の深山変電所本館は、大正7年に発電所本館として建てられた石造平屋。半円形アーチの窓が電気の歴史を静かに語っていて、山中に洋館が現れる意外さに驚いた。
  3. 河内発祥公園は椋梨川沿いの桜の名所で、夏には鮎つかみの催しもある。今日は花の季節でなくても、水辺に町の遊び心が残っているのがうれしい。
  4. 旧宇山小学校の教室を使った河内町民俗資料展示室には、農業や林業、漁業、製糸、製茶の道具が約200点並ぶ。無料で見られるのに、村の仕事が立体的に浮かぶ。
  5. 古民家カフェゆーみんは河内町小田の築年数を感じる家を使い、水曜から日曜の11時〜16時に開く。山の中の隠れ家で、古い器と新しい休憩時間が同居しているのが印象的だ。
  6. 深山峡は椋梨川流域に約4km続く峡谷で、夫婦岩や猿岩のような奇岩が連なる。名前の通り深い緑の奥から岩が顔を出し、最後に景色のスケールが一段広がった。
地図と足跡で読む