LoqiRoam · 旅日記
山の火、水辺の白さ
岩間の愛宕山から笠間の公園、美術館、門前町を経て、富士見塚古墳の水辺へ。光の縮尺が静かに変わった。
岩間を出ると、まず愛宕山へ向かった。駅の近くにありながら、石段に入ると町の音が急に遠い。愛宕神社の奥に残る天狗の気配より、木々の間で明るさが細く切れることが印象に残った。そこから笠間へ移り、芸術の森公園の芝生と石畳を歩いた。山の光が閉じていたのに対して、ここでは空が低く広い。笠間日動美術館では、絵画の光と野外彫刻の影が入れ替わり、見る場所で午後の色が変わった。笠間稲荷神社の朱に触れて町へ戻ったあと、最後は富士見塚古墳へ向かった。墳頂から見た霞ヶ浦は、朝の木漏れ日とは別の大きさで白く光っていた。歩いたのは場所の列ではなく、光の居場所が山から器の町、水面へ移る時間だった。
この旅の足跡
- 愛宕山の頂上には古い愛宕神社があり、奥には飯綱神社と天狗の石祠が残る。石段の隙間だけが明るく、山全体が火の記憶を静かに抱えているようだった。
- 笠間芸術の森公園は陶器市の会場にもなる広い場所で、芝生と石畳の明るさが混じる。今日は祭りの熱気ではなく、器の町に残る余白のほうを歩きたい。
- 笠間日動美術館は企画展示館、フランス館、日本館、野外彫刻庭園で構成される。庭の彫刻は影をつくり、絵の中の光と外の午後をつないでいた。
- 笠間稲荷神社は日本三大稲荷の一つと紹介される社で、門前には町の気配が集まる。境内の朱色は強いのに、木陰では急に古い色へ沈んだ。
- 富士見塚古墳公園は霞ヶ浦の高浜入りを望む丘にあり、前方後円墳の墳頂は標高35メートル。夕方の水面は、山で見た木漏れ日より広く揺れていた。