LoqiRoam · 旅日記
水路の記憶から、ひらく光へ
元町の珈琲から大友堀の記憶、都市の水辺と木陰を経て、モエレ沼の幾何学的な光へ向かった。
元町で二階の小さな珈琲店に入り、旅の始まりを急がないことにした。カップの向こうに見えたのは、駅前の便利さではなく、住宅街の細い陰影だった。そこから大友公園へ歩くと、札幌の街が用水路と道をつくるところから始まったことが、遠い話ではなく足元の湿り気として現れた。創成川公園では、その水の記憶が遊歩道と彫刻に姿を変え、川へ降りる階段の下で街の音が少し低くなった。大通公園の広い空と木陰を通り抜け、北のひのまる公園では自然林の影に身を置いた。最後にモエレ沼公園へ向かうと、人工の山とガラスの面が空を受け取り、影は消えるのではなく、別の形へ移っていった。今日見たのは暗さではなく、光が場所ごとに選ぶ輪郭だった。
この旅の足跡
- 元町駅から421mの二階にあるiki COFFEEは、13席の小さな隠れ家。平日は10時から開くと知り、最初の影をカップの縁に探した。
- 大友公園には大友堀の遺構が残る。用水路から始まった札幌の街が、住宅の間で急に深い時間を見せるのが意外だった。
- 創成川公園は南4条から北1条まで820m続き、水辺へ降りる階段と18件の野外彫刻がある。川は道より静かに街を分けていた。
- 大通公園には約90種類4700本の樹木、花壇、噴水、彫刻が点在する。広い空地なのに、木陰の一つひとつが小部屋のようだった。
- ひのまる公園は明治期の日の丸農園の区域にあり、ヤチダモやハルニレ、ミズナラの自然林を残す。住宅地の中で樹影だけが古い。
- モエレ沼公園は園全体を彫刻として設計され、モエレ山やガラスのピラミッドが空を返す。午後の影が、地面から立ち上がっていた。