LoqiRoam · 旅日記

風と床音、最後に波

水辺、建築、美術、祭礼、科学、街の音、海辺をつなぎ、音の変化をたどった小松の寄り道。

明峰を出ると、行き先を決めるほどの大きな音はなかった。だから最初は木場潟へ向かい、水面を渡る風の細かな変化を聞いた。そこから本陣記念美術館へ歩くと、黒川紀章の建物の静けさのなかで、床のきしみが思いがけず近くに感じられた。曳山の館では、二基の山車を前に、五月のお旅まつりの太鼓と子供歌舞伎を想像する。科学館の屋上で階段を上り、方位を確かめ、駅前のジャズ喫茶でひと息ついた。最後は安宅の関跡へ。松林の向こうの海に立つと、今日一日の音が波にほどかれ、帰り道だけが静かに残った。

この旅の足跡

  1. 木場潟は白山や田園と調和する自然のままの水郷公園で、園路は一周6.4km。風が水面を細かく鳴らし、街の音が少し遠くなった。
  2. 本陣記念美術館は日本画や陶磁器などを収蔵する黒川紀章設計の美術館。展示室の静けさのなか、床のきしみまで近くに聞こえた。
  3. こまつ曳山交流館みよっさには曳山が二基常設展示され、五月のお旅まつりでは子供歌舞伎が続く。静かな館内に太鼓の未来形を想像した。
  4. サイエンスヒルズこまつの屋上散策路には156段の階段と方位表示がある。上り下りで息が変わり、風の聞こえ方まで動いた。
  5. 小松駅西口近くのパーラーアコは昭和レトロな店内でジャズが流れ、ハンドドリップの珈琲を味わえる。音楽が旅を一度椅子に座らせた。
  6. 安宅の関跡は松林の砂丘にあり、勧進帳の舞台として語られてきた。海からの風と波の音が、物語を現在へ引き戻していた。
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