LoqiRoam · 旅日記
山の影を、港の灯りまで運ぶ
駒ヶ岳の山麓から鹿部の温泉と海岸を経て、函館山の夜景へ。火山の影が海と暮らしを通り、最後に港の灯りへほどけていく。
駒ヶ岳を出た朝、山はまだ大きすぎて、ひとつの景色としては見切れなかった。山麓へ下り、荒々しい地面の影を見てから、鹿部の間歇泉と足湯へ向かった。空へ噴き上がる水と足元の熱が、遠い火山を身体の近くへ引き寄せてくれる。海岸へ出ると、今度は山が波の向こうの影になった。国道沿いの町では、景勝地ではなく、海と仕事が隣り合う道の時間に立ち止まる。夕方、函館山の高みへ移るころには、駒ヶ岳はもう輪郭だけだった。けれど、その輪郭が薄れるほど、歩いた道の順番が見えてきた。山、湯気、海、暮らし、そして港の灯り。影は場所に置き去りにするものではなく、次の景色へ渡すための静かな橋だった。
この旅の足跡
- 駒ヶ岳の裾野には、荒々しい岩肌と広い地面が残っていた。山を見上げるより、足元の影の濃さに火山の時間を感じる。
- 間歇泉が空へ噴き上がるそばで、足湯に身を預けた。山の影は遠いのに、温泉の熱だけが手元に残るのが不思議だった。
- 鹿部の海岸では、駒ヶ岳が海の向こうの大きな影に変わった。山と波を同じ視界に置くと、距離の感覚が少し壊れる。
- 海岸沿いの道には、観光地の華やかさより漁の町の時間がにじんでいた。波音を聞きながら、この道を誰が毎日使うのか考えた。
- 函館山から見下ろす港は、山の輪郭が薄れたあとに灯りが浮かぶ。遠くの駒ヶ岳を探したが、最後は町の光ばかり見ていた。