LoqiRoam · 旅日記
海の輪郭が残るまで
木岐から日和佐へ、海岸道路と町の文化をつなぎ、大浜海岸の薄明で終える散歩。
木岐を出ると、最初に見えたのは名所ではなく、水面の明るさだった。集落の屋根、入り江、山の斜面。光は場所ごとに違う速度で移っていた。南阿波サンラインでは、急な道を上るたび海が短く現れた。日和佐に着いて道の駅で土地の味を探し、すだちの酸味で歩き始めの眠気がほどける。薬王寺の石段では、白い日差しと影が一段ずつ入れ替わった。そこからカレッタへ向かうと、旅は人の祈りからウミガメの時間へ静かに転換した。最後に大浜海岸へ出る。砂浜は広く、波は低い。夕方の色が海から引いていくのを見ていると、遠くへ来たというより、同じ光を別の角度から見つけた一日だったと思う。
この旅の足跡
- 木岐の海は、駅から少し離れると視界いっぱいに開く。小さな入り江の水面だけが先に明るくなり、集落の屋根にはまだ朝の青が残っていた。
- 南阿波サンラインは、海岸の断崖に沿う18キロの眺望道。急な上りのあと、木々の隙間から海が一瞬だけ銀色になる。その短さが、かえって目に残った。
- 道の駅日和佐では、すだちソフトやひじき、わかめなど県南の味が道路の休憩所に並ぶ。足湯は終了しているが、立ち止まる理由はまだ明るく残っていた。
- 薬王寺の石段では、白い日差しが一段ごとに濃淡をつくる。厄除けの寺として知られる場所なのに、私が先に拾ったのは祈りより石の温度だった。
- カレッタは大浜海岸を望むウミガメ専門の博物館。展示を見ていると、海の向こうの生きものが急に近くなる。2025年の再開館後も、浜との距離が印象的だった。
- 大浜海岸は約500メートルの弧を描く砂浜で、アカウミガメの産卵地として守られている。夕方、砂は白から灰青へ変わり、波だけがまだ光を返していた。