LoqiRoam · 旅日記
川音のあと、茶の町の裏側へ
宇治橋、茶房、社寺、琴坂、窯元、太閤堤跡をつなぎ、茶の町の表情と景観の裏側を歩いた。
宇治駅を出たときは、茶の町らしい整った景色を想像していた。けれど最初に気になったのは、店の名前より宇治橋の向こうで変わる音だった。橋を渡り、川辺の道から表参道へ入り、茶房で一服する。賑やかな通りの中で抹茶を飲むと、歩く速度だけが先に静かになった。そこから宇治上神社へ向かうと、平安時代後期の本殿が、古さを声高に主張せず残っている。興聖寺では琴坂の石畳が寺より先に空気を変え、朝日焼では茶の時間が器の土から始まっているように感じた。最後は太閤堤跡へ回った。堤が築かれ、埋まり、保存された線を眺めると、華やかな宇治の景色は建物だけでできていないと分かる。名所を集めたというより、曲がるたびに町の速度を少しずつ借りた一日だった。
この旅の足跡
- 宇治橋は川を渡るだけの橋ではなかった。三ノ間の話を知ると、茶の町の入口に水を汲む歴史が立っているようで、橋の上の風まで少し古く感じる。
- 平等院表参道の茶房では、本格的な宇治茶をきちんと味わえる。人の流れは賑やかなのに、一服すると歩く速度だけが先に静かになっていくのが面白い。
- 宇治上神社の本殿は平安時代後期の現存最古級の神社建築。派手さのない境内に立つと、古さは大きさではなく、残り方の癖に宿るのかと考えてしまう。
- 興聖寺へ続く琴坂は、寺門より先に木立と石畳が気分を変えてしまう。まっすぐな道なのに、歩くほど奥へ曲がっていくような錯覚が残った。
- 朝日焼の窯元を調べると、宇治茶の文化は茶葉だけでなく器の手仕事にも続いていると分かる。茶碗を眺めていると、飲む前の時間まで味の一部に思えてきた。
- 宇治川太閤堤跡では、堤が築かれ、埋まり、保存された変化を公園の中でたどれる。華やかな景色の背後にある治水の線を見て、町は土木にも記憶されるのだと思った。