LoqiRoam · 旅日記
影の向きが変わるたび
小串の海辺から生活道、寺と文化施設、瓦そばを経て、川棚の巨樹の影に至る小旅行。
小串では、駅を出てすぐに海へ急がず、住宅の塀や電柱が道に落とす細い影を眺めた。海はSUPの案内があるほど近く、潮の明るさは強かったけれど、足元には別の時間が流れていた。川棚へ向かうと、妙青寺の池に枝が映り、雪舟の庭とされる「心」の形が、水面の揺れで少しずつ崩れていった。境内の句碑を過ぎ、川棚の杜では民俗資料とコルトー、山頭火の記憶が一つの建物に収まっていることに驚いた。瓦そばの熱い瓦から立つ香りで、眺める旅はいったん味わう旅になった。最後に川棚のクスの森へ向かうと、一本の木が森のように枝を広げていた。海辺で見た細い影が、ここでは幹と枝の深い陰になっている。夕方の光は、旅を終わらせるというより、次に歩く方向をそっと残していた。
この旅の足跡
- 小串の海は、駅から少し歩くと視界がほどける。SUPの案内があるほど海に近い土地なのに、今日は水面より、堤防に伸びる電柱の影が気になった。
- 小串から川棚へ向かう道では、海岸線と住宅の距離が近い。観光地へ急ぐ道というより、洗濯物や低い塀の影が一日の生活を知らせる道に見えた。
- 妙青寺は1416年創建と伝わり、雪舟の庭とされる「心」の形の池、山頭火の句碑が境内にある。池の水面に映る枝が、古い時間を静かに揺らしていた。
- 川棚の杜・コルトーホールには烏山民俗資料館が併設され、川棚を愛した山頭火やコルトーの記憶が残る。抽象的な建物の輪郭に、土地の物語が重なって見えた。
- 川棚温泉は瓦そば発祥の地として知られ、熱した瓦の上で茶そばを味わう文化がある。ぱりっとした端の食感で、長く眺めていた影が急に香りへ変わった。
- 川棚のクスの森は、樹齢1000年超とされる一本のクスが森のように枝を広げる場所。再生の兆しも伝えられ、夕方の枝影には終わりより続きがあった。