LoqiRoam · 旅日記

瓦の町に落ちる影

高浜港から鬼みち、土管坂、かわら美術館・図書館、森前公園、稗田川、寺社の道へ。瓦の文化と水辺の影をつないだ。

高浜港駅前から歩き始めると、港の向こうに広がる空と、鬼みちの巨大な鬼面がひとつの視界に入った。海辺の旅になると思っていたのに、道はすぐ瓦の町へ折れ、土管坂では昔の登り窯の熱を地形の中に想像した。かわら美術館・図書館では、瓦を運んだ千石船を思わせる建物と、三州瓦をめぐる展示の静けさに足を止める。外へ出ると、森前公園の瓦庭には魚や亀の陶板が隠れ、保存された窯の影が遊びの風景に重なっていた。最後は稗田川沿いへ逃げるように歩いた。草と水の影が、硬い瓦の輪郭を少しずつほどいていく。帰り道の鬼瓦は怖い顔をしているのに、今度は町を守る表情に見えた。

この旅の足跡

  1. 高浜港駅の周りには、港町と窯業の記憶が同じ風景に重なっていた。線路の向こうへ落ちる建物の影を見て、ここから瓦の町へ歩けることが旅の始まりらしく思えた。
  2. 鬼みちでは、屋根の上だけでなく道の脇にも鬼瓦の表情が潜んでいた。約4.5キロの散策路と知って歩き出したが、最初の鬼面からすでに町全体が見張られているようだった。
  3. 土管坂は、坂そのものに窯業の地形が残っているようだった。昔ここに登り窯が並んだという説明を思いながら歩くと、舗装の明るさの下に焼成の熱がまだ沈んでいる気がした。
  4. かわら美術館・図書館は、瓦を運んだ千石船を思わせる外観を持ち、三州瓦の中心地に建っている。静かな展示室で瓦を見ると、屋根の影がひとつの美術史に変わっていった。
  5. 森前公園の瓦庭は、いぶし瓦を波のように敷き、魚や亀の陶板を水面の底に隠している。復元だるま窯と塩焼瓦窯の影を見比べると、遊びと産業が同じ土から生まれていた。
  6. 稗田川沿いでは、草の茂る緑の帯が町の中を静かに続いていた。八反田公園から歩ける水辺の道を選ぶと、瓦の硬い輪郭がほどけ、風が影を水面へ運んでいった。
  7. 鬼みちの後半には寺社や瓦の庭が続き、鬼瓦は装飾というより町の記憶を守る顔に見えた。帰路の光が瓦の凹凸にたまり、歩いてきた道が少しだけ古くなった。
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