LoqiRoam · 旅日記
加茂川の角を曲がり、城跡で風を見る
川辺の白壁、寺町、旧市庁舎、果物カフェ、城跡、海岸遊歩道をつないだ米子の寄り道旅。
三本松口を起点にしたが、駅の周りだけで終える気にはならなかった。まず旧加茂川の白壁土蔵へ向かうと、石段と川辺がかつての水運をそっと残していた。そこから寺町通りへ折れる。九つの寺が並ぶ道は、観光のために整えられたというより、城下町の古い都合が今も生活の隙間に残っている感じがした。赤褐色のタイルと半円アーチの山陰歴史館で時間をいったん建物の中へ入れ、美術館が改修休館中だと知って、向かいの果物カフェに寄り道した。予定外の甘さを挟んでから米子城跡へ上ると、さっきまで迷っていた細道が町の模様として見えた。最後は湊山公園の海岸遊歩道へ下りる。歴史の旅だったはずなのに、終着で残ったのは松の間を抜ける風と、もう一度どこかの角を曲がりたいという気分だった。
この旅の足跡
- 白壁土蔵の足元に旧加茂川が沿い、石段の向こうに水運の記憶が残っていた。静かな川なのに、昔は荷船が行き交ったらしい。
- 九つの寺が一列に並ぶ寺町通りは、観光地というより生活の背後に残った静かな防衛線に見える。曲がるたび屋根の重なりが変わった。
- 赤褐色のタイルと半円アーチを持つ旧市役所が、いまは山陰の歴史を見せている。無料展示なのに、建物そのものが一番饒舌だった。
- 美術館は2026年8月末まで改修休館中だが、向かいの果物カフェは営業している。展示を見られない日に、果物の色だけが妙に鮮やかだった。
- 米子城跡の登城路は通行止め解除後で、天守台から市街と水辺を見渡せる。石垣を上るほど、さっきまでの細い道が一枚の地図になった。
- 湊山公園の海岸遊歩道へ下りると、城下町の話が波と松林の話に変わった。名所を締めるより、風に疑問を預けて帰る方が今日は似合う。