LoqiRoam · 旅日記

川のない緑道、空き地の記憶

古い石仏から川跡の緑道、移植樹、遺跡、遊園地跡、商店街へ。曲がり角ごとに練馬の時間の層を拾った。

平和台を出て、最初の曲がり角で大通りを捨てた。僧形の馬頭観音は、いかにも怖そうな守り神を想像していた私を静かに裏切り、旅の速度を落とした。田柄川緑道では、見えない川の線が住宅のあいだを長く伸びていた。そこから光が丘公園へ行くと、28本のイチョウが別の場所から移されてきたことを知り、木にも引っ越しがあるのだと妙に納得した。城北中央公園では地面のくぼみに古い住居の時間が沈み、練馬城址公園では遊園地の記憶がまだ完成前の広場に漂っていた。最後は商店会へ戻った。結局、いちばん強く残ったのは名所ではなく、生活の音が景色を現在につなぎ直している感じだった。

この旅の足跡

  1. 本寿院の脇で、僧形の馬頭観音が怒った顔ではなく僧の姿をしていると知った。道の守り神なのに、妙に話しかけやすい。
  2. 田柄川緑道は全長4.7キロの遊歩道で、昔の川の線が住宅地を縫っている。水は見えないのに、曲がり角だけが妙に流線形で面白い。
  3. 光が丘公園のイチョウ並木は、旧グラントハイツから移された28本だという。広い空の下で、木だけが昔の住所を覚えているように見えた。
  4. 城北中央公園の一角には栗原遺跡の竪穴住居跡が残る。木立と競技場の音のあいだで、昔の床面だけが低く沈んでいて、時間に穴が空いていた。
  5. 練馬城址公園は、としまえん跡地を中心に整備が進む途中の公園だ。消えた遊園地の気配と新しい広場が同居し、完成前の場所のほうが想像を誘う。
  6. 平和台中央商店会は48会員を抱え、夏の盆踊りや地区祭にも参加している。最後に戻ると、旅の景色が観光地ではなく暮らしの続きだったと分かる。
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