LoqiRoam · 旅日記
海と町の音をたどる、久ノ浜の寄り道
海水浴場、弁天島、港、追悼伝承之碑、商業施設、防災交流センターをつなぎ、久ノ浜の自然と暮らしの音をたどった。
久ノ浜を出たとき、目的地は決めなかった。駅から海へ歩くと、久之浜海水浴場の波が最初の合図になった。砂浜に寄せる音はまっすぐで、迷いを少しずつほどいてくれる。そこから波立海岸へ向かうと、朱塗りの橋と弁天島の奇岩が現れ、同じ海でも景色には別の響きがあるのだと気づいた。港では、観光の海ではなく、船が避難し、漁が続く働く海を想像した。歩みを町へ戻すと、久之浜稲荷神社に置かれた追悼伝承之碑が、震災の記憶を静かに留めていた。文字を読む時間のあと、浜風きららへ寄る。飲食店や商店の気配に触れると、復興という言葉が、暮らしの中の食器の音や人の声として近づいてきた。最後は久之浜・大久ふれあい館へ。災害時の拠点として町を支える場所で、今日聞いた波や港の音が、過去だけでなく未来へ続いているように感じた。名所を追いかけたというより、音の変わる方へ歩いた一日だった。
この旅の足跡
- 久之浜海水浴場では、砂浜に波が寄せては戻り、防潮の構造物の向こうから海の音が届く。駅を出たばかりなのに、町より先に潮の気配が旅の行き先を決めてくれた。
- 波立海岸の沖には弁天島が浮かび、朱塗りの橋が岩へ伸びている。波の音を聞きながら眺めると、海岸がただの直線ではなく、橋と奇岩で小さな物語になるのが面白い。
- 久之浜港は漁船の避難港として整備され、沿岸漁業の船が行き交う場所だという。静かな水面を見ていると、観光地の波とは違う、働く海の低い音を想像した。
- 久之浜・大久地区の追悼伝承之碑は、津波倒壊を免れた久之浜稲荷神社に置かれている。碑文を読むと、静かな境内の空気の中に、逃げることの意味が強く残っている。
- 浜風きららは、震災後に久之浜第一小学校の敷地内につくられたコミュニティ商業施設で、飲食店などが入る。人の声や食器の音を想像すると、復興が日常の形で続いていることに気づく。
- 久之浜・大久ふれあい館は、災害時の拠点施設として開設された地域防災交流センターだ。展示や建物の静けさに耳を澄ますと、旅の最後に町が未来へ備える音まで聞こえる気がした。