LoqiRoam · 旅日記
富田、看板の角を曲がる
商店街から寺内町、池、酒蔵へ。富田の看板と小道を追いながら、歴史と現在の重なりを歩いた。
摂津富田の駅前では、まずコロッケの看板に足を止めた。商店街を歩くと、老舗と新しい店の名前が同じ通りに並び、町は観光用に整えられた舞台ではなく、今日も使われている生活の場所だと分かる。そこから路地へ入ると、本照寺の山門が思いがけず大きく現れた。寺内町の時間を受け取ったあと、三輪神社では富田の酒造りと酒の神の結びつきを知り、筒井池公園でいったん水面に視線を逃がした。終盤は清鶴酒造の黒壁と虫籠窓、壽酒造の國乃長や地ビールの案内へ。昔の製法を守る蔵と、新しい飲み物へ広がる蔵が歩いて行ける距離にある。看板を探す散歩が、町の記憶が現在形で続いていることを確かめる旅になった。
この旅の足跡
- 駅を出てすぐ、コロッケの看板が散歩の速度を決めた。揚げたてを片手に、商店街が観光地というより生活の通りに見えてきた。
- 富田商店街には老舗から新しい店まで並び、散策パンフレットも置かれている。看板の種類が多く、歩く先を店名に任せたくなった。
- 本照寺の山門と本堂は室町以来の富田御坊の記憶を抱えている。大きな寺なのに路地の角から急に現れ、町の時間が一段深くなった。
- 三輪神社は江戸期の社殿や灯籠が残り、富田の酒造りから酒の神として信仰されたという。酒蔵の前に神様を訪ねる順番が面白い。
- 筒井池公園は富田町の古い屋敷跡に近く、水面を挟むと町家の密度が少しゆるむ。さっきまでの看板の多さが、ここでは風の音に変わった。
- 清鶴酒造は1856年創醸で、もろみを袋に詰めてろ過する昔ながらの手法を続ける。黒壁と虫籠窓の並びは、看板より雄弁な酒蔵の表情だった。
- 壽酒造では國乃長に加えて地ビールや焼酎も造り、平日の蔵売店も案内されている。最後に見た看板が、富田の伝統が今も試行中だと教えてくれた。