LoqiRoam · 旅日記
水音から織り目へ
小中から滝、湖畔の詩画、駅の温泉、峡谷、蔵、織物へ。自然と人の手仕事をつなぐ六つの立ち寄りで、三つの小さな発見を集めた。
小中から始めた旅は、まず山の奥へ向かった。けさかけ橋の急な階段を前にすると、小中大滝は見るものというより、身体で近づくものだと分かる。次に草木湖畔の富弘美術館へ寄ると、絵と文字が静かに並び、さっきまでの滝の音が心の中で文章に変わった。水沼駅では、列車を待つ場所に温泉があるという小さな驚きに出会い、旅の歩幅をゆるめた。大間々へ下りて高津戸峡を歩くと、ゴリラ岩やポットホールのように、川が残した形には一つずつ呼び名がある。終盤は桐生の有鄰館で蔵の時間に触れ、最後に桐生織物記念館へ。1934年の建物、織機、端切れを見ていると、山と川を通ってきた一日が、今度は布の細い線に織り直されていくようだった。
この旅の足跡
- 赤い階段状のけさかけ橋を渡ると、落差96メートルの小中大滝を望める。橋は思った以上に急で、滝を見る前から足元が旅の主役になった。
- 草木湖のそばにある富弘美術館は、絵と文字がひとつの画面に調和する詩画の美術館。静かな作品なのに、山の景色まで文章を読み始めたように見えてきた。
- 水沼駅は駅舎に温泉センターが併設され、列車を待つ時間そのものを休憩に変えられる。移動の途中に湯気があるだけで、山旅の歩幅が急にやさしくなった。
- 高津戸峡には、はねたき橋から高津戸橋まで約500メートルの遊歩道があり、ゴリラ岩やポットホールを眺められる。川の形が名前を持っているのが面白い。
- 有鄰館には、酒・味噌・醤油の醸造や保管に使われた江戸期から昭和期の蔵が11棟残る。古い建物が舞台や展示会場として今も使われるのが新鮮だった。
- 桐生織物記念館は1934年築の登録有形文化財で、1階では桐生織の小物や端切れを販売し、2階では織機や技法を見られる。最後に触れられる歴史だった。