LoqiRoam · 旅日記

湾の表面と、その下

資料館から湾の展望、駅の生活を経て、自然海浜の静けさへ向かった。

安浦では、駅を出てすぐに観光地を探すのではなく、内海地区の古い家へ向かった。南薫造の生家とアトリエには、絵だけでなく古文書や農漁具もあり、表現と生活が同じ床の上に置かれていた。そこから稚児公園へ上がると、三津口湾のカキいかだが小さく見え、町の時間が急に遠くなった。けれど湾には大きなアマモ場が残ると知り、景色を眺めるだけでは足りない気がした。安登駅まで列車で移り、駅の静かな日常を挟んで、中小島と七浦の浜へ向かった。砂浜、海食崖、岩礁の輪郭を順に見ていると、静けさは何もないことではなく、見えないものを待てる状態なのだと思えた。

この旅の足跡

  1. 江戸後期の様式を残す生家に、絵画だけでなく古文書や農漁具も並ぶ。画家のアトリエが暮らしの土間の奥に続いているのが意外だった。
  2. 三津口湾を見下ろす高台に、桜や藤棚の散策道と野鳥の森がある。花の公園なのに、湾に浮かぶカキいかだの方が強く目に残りそうだ。
  3. 三津口湾には瀬戸内海山陽側に残る大きなアマモ場がある。穏やかな湾の表面からは見えない生態系が、静けさの底に広がっている。
  4. 安登駅は呉線の小さな駅で、安浦から列車で隣へ移れる。観光施設の少なさが、列車の到着音や駅周辺の生活を聞く余白になりそうだ。
  5. 中小島の浜は中央が砂浜、両端が海食崖や岩礁で、水がよく澄み自然の状態が保たれている。整いすぎない輪郭に惹かれる。
  6. 七浦海岸は安浦の自然海浜保全地区の一つとして記録されている。観光地らしい大きな見せ場より、潮が引いたときだけ現れる細かな変化を待ちたい。
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