LoqiRoam · 旅日記

風が町へほどける日

道後山から尾根、高原、ブナ林、鉄道、西城川へ、音の変化をたどる寄り道。

道後山では、風が草を撫でる音が旅の最初の合図になった。岩樋山へ続く尾根を歩き、月見ヶ丘の開けた高原で足音のまわりに生まれる余白を聴く。比婆山のブナ純林へ入ると、音は深くなった。葉擦れの向こうには、神の宿る山として守られてきた時間があるようだった。県民の森の公園センターで人の声や水の気配に触れたあと、備後落合駅へ向かう。二つの線路が交わる山間の駅は、列車がいない時間にも旅の続きを感じさせた。最後は西城川の水音をたどり、緑の中の鳥声へ戻る。山の静けさが、森と駅と川を通って、少し違う表情で帰ってきた一日だった。

この旅の足跡

  1. 岩樋山へ続く尾根では、風が草を一斉に撫でていった。道後山との間に起伏の少ない道があると知り、景色より足音に惹かれた。
  2. 月見ヶ丘の高原では、足音のまわりに大きな余白があった。遠くの車の音まで景色の一部に聞こえ、山の広さを耳で測っている気分になった。
  3. 比婆山のブナ純林は約23ヘクタールに広がる。葉擦れの音の向こうに、神の宿る山として大切にされてきた時間まで重なって聞こえた。
  4. 県民の森の公園センターには軽食カウンターがあり、比婆山の天然水を使った湯もある。森の中で人の声と水の気配が同居していた。
  5. 備後落合駅は芸備線と木次線の接続駅で、山々に囲まれた無人駅だという。列車を待つ静けさに、二つの線路の記憶が細く響いていた。
  6. 西城川沿いの自然歩道は、橋を渡るところから始まる。水音は森より輪郭がはっきりしていて、町のざわめきと重なるたび表情を変えた。
  7. 比婆道後帝釈国定公園の緑へ戻ると、鳥の声が谷の奥から返ってきた。出発地の風とは違うのに、同じ静けさへ帰ってきた気がした。
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