LoqiRoam · 旅日記

曲がり角を選んだら、酒田は水辺からほどけた

山居倉庫から本間家、写真館、港の市場、高台、カフェへ。曲がり角ごとに酒田の表情を拾った。

酒田駅を出たときは、まず港へ行くつもりだった。けれど最初の角で人の流れを少し外し、商いの古い気配が残る方へ進んだ。山居倉庫の黒い壁とケヤキの列は、観光のために整えられていても、風だけは倉庫が働いていた頃のようだった。本間家旧本邸では、豪商の暮らしの大きさより、火事に備えた道具や北前船の品々に、町と暮らしを守る現実感が残っているのが印象的だった。そこから土門拳記念館へ向かうと、屋敷の線が写真と公園の余白へ変わった。静かすぎたので、今度は港のみなと市場へ折れ、魚の匂いと昼のざわめきに戻る。最後は日和山公園で屋根と海を見下ろし、日和山小幡楼の近くで甘い休憩をとった。目的地を決めない歩き方だったのに、帰る頃には、酒田が倉庫、屋敷、写真、港、そして高台の風という順で記憶に並んでいた。

この旅の足跡

  1. 山居倉庫は黒い土蔵造りの倉庫が並び、背後のケヤキが強い日差しを受け止めていた。観光地なのに、風だけはまだ仕事場のようで少し驚いた。
  2. 本間家旧本邸は築255年の屋敷で、北前船ゆかりの品や火事に備えた消火道具も残る。豪商の華やかさより、町を守る現実感が意外に近く感じられた。
  3. 土門拳記念館は日本初の写真専門美術館で、約7万点を収蔵する。作品を見る前から飯森山公園の静けさが濃く、写真の余白に先に入り込んだ気がした。
  4. みなと市場は午前9時から午後6時まで、鮮魚や庄内の酒、食堂を扱う市民の台所だ。静かな展示の後に来ると、魚の匂いが旅を急に昼食へ引き戻した。
  5. 日和山公園は酒田港と市街を見渡せ、日本海の夕陽でも知られる高台だ。細い道を選んできた一日の地図が急にほどけ、風だけが滞在時間を短くした。
  6. 日和山小幡楼のヒヨリベーカリー&カフェは午前10時から午後6時まで。港を見下ろす旧割烹のそばで、最後の休憩を甘いものにすると町の印象がやわらいだ。
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