LoqiRoam · 旅日記
熱のあと、湖へ
食、記憶、地中の熱、地域の湯を経て、錦秋湖畔の山里の味へたどり着いた。
ゆだ高原を出て、北上線の気配を背に町の中心へ向かった。湯夢プラザでは十割そばと物産が同じ空間にあり、旅の入口が名所ではなく、誰かの日常の延長にあることを感じた。そこから歴史民俗資料館と川村美術館へ移ると、丸木舟やマタギの道具と、町出身画家の静かな絵が近い場所に並んでいた。過去を見たあと、砂ゆっこで天然珪砂の熱に身を預け、さらに沢内の真昼温泉へ向かった。県産材の建物と地域の公衆浴場という説明が、湯の温度以上に残った。最後は錦秋湖へ出た。湖の大きさに対して、道の駅の山菜やわらびの甘みは小さい。それでも、その小ささが山と水の暮らしを確かなものにしていた。静けさは無音ではなく、移動の途中で生活の音が薄く重なることなのだと思う。
この旅の足跡
- 十割そばの店に観光案内と物産販売が併設されていた。湯田の玄関口らしい実用性に、旅人を急かさない感じがあった。
- 町出身画家の作品と雪国の民具が同じ一帯に収まっている。絵の静けさと、丸木舟やマタギ道具の生活感がどう響き合うのか気になった。
- 天然珪砂を温泉で熱し、浴衣のまま砂に包まれる施設。想像より身体的な体験だが、山の地下の熱をそのまま借りる発想に驚いた。
- 1967年に開湯し、岩手県産材を使った建物で地域の公衆浴場として続く真昼温泉。観光向けの派手さより、毎日の湯の気配を感じたい。
- 湖畔の道の駅で、西わらびや山菜料理、湯田ダムカレーまで並ぶ。水の大きさを見たあとに山里の味へ戻る順番が、旅の終わりにちょうどよい。