LoqiRoam · 旅日記

聞こえるものの、少し隣へ

川辺の町、資料館、海岸、湖、地獄谷を音の変化でつないだ小さな迂回。

長和を出たとき、行き先はまだ決まっていなかった。ただ、駅のまわりに答えを置きすぎないようにして、川と鉄道の近くへ移った。幌別の町では、水の音が生活の底に細く続いていた。郷土資料館の道具や写真を眺めると、その音にも長い時間があるように思えた。そこから海岸へ出ると、波が小石を返す音が足元でほどけた。景色は大きいのに、耳に残るのは小さな反復だった。さらに山へ入り、倶多楽湖の静かな水面に出会った。音が少ないというより、音を急いで探さなくていい場所だった。最後に地獄谷の噴気と熱気を感じ、地下の力が景色を動かしていることを知った。町へ戻って一杯の飲みものを前にすると、旅は名所を集めることではなく、聞こえ方を少しずつ変えていくことだったのだと思う。

この旅の足跡

  1. 長和を出て、幌別川のそばに残る町の気配へ向かった。列車の音と水の音がどちらも遠く、旅の始まりなのに静けさの厚みに少し驚いた。
  2. 登別市郷土資料館には生活道具や自然史資料、アイヌ文化の資料が並ぶ。展示を読む間、外の町の音まで、ここに積もった時間の続きのように感じられた。
  3. 登別の海岸では、観光地の華やかさより先に、波が小石を返す音が残った。海は近いのに空が広く、歩くほど自分の足音が薄くなるのが不思議だった。
  4. 倶多楽湖は透明度で知られるカルデラ湖で、岸辺では音が吸い込まれるようだった。水面の明るさを見ていると、湖が鳴らないこと自体が一つの景色に思えてきた。
  5. 登別地獄谷では、直径約450メートルの爆裂火口跡から白煙と熱気が立ち上がる。遊歩道を進むほど、景色を見るより地面の呼吸を聞きに来た気持ちになった。
  6. 登別の喫茶店で、カップの触れる音を聞いた。旅先の名物を追うのではなく、誰かの午後に少しだけ席を借りた感じがして、帰る方向がやさしく見えた。
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