LoqiRoam · 旅日記
深草の角、桃山の遠景
深草の古社、墨染の茶房、伏見稲荷の門前、大岩山の山道と展望、桃山城を、路地と視線の変化でつないだ。
JR藤森を出て、最初の角では駅名の背後にある深草の古さを探した。藤森神社の割拝殿を抜ける風は、勝運や馬の信仰を語る境内を少しだけ日常へ戻してくれる。そこから墨染の細い路地へ入り、竹聲で茶を飲む。庭を望む茶房が、椿堂茶舗の隣の露地奥に隠れているのは、街がわざと一枚扉を残しているようで好きだった。次は伏見稲荷へ。門前の商いと朱色の鳥居の密度に目を奪われたあと、あえて人の少ない方向へ曲がる。大岩神社の参道では、堂本印象の石鳥居と竹林が、同じ鳥居でも別の沈黙を作っていた。大岩山展望所まで上ると、伏見桃山城と南西の町が一気に見える。最後はその城の姿を地上で見返すために桃山へ下りた。今日は名所を直線でつないだのではなく、にぎわいから静けさへ、木陰から遠景へ、その都度ちょっと気の向く方へ進んだ。
この旅の足跡
- 古社なのに、拝殿の中央を通り抜けられる造りが妙に開放的だった。勝運と馬の社という勇ましさの奥に、約1800年の深草の氏神らしい生活感も残っている。
- 椿堂茶舗の隣の細い路地を入ると、庭を眺める茶房に変わる。12時から17時の短い営業なのも、街の時間にこちらが合わせる感じで少し可笑しい。
- 伏見稲荷は鳥居だけでなく、門前に神具店や狐煎餅の店が続く町だった。山へ吸い込まれる朱色を見ていると、どこまでが道でどこからが参拝なのか少し曖昧になる。
- 大岩神社への参道には、堂本印象が寄進した石の鳥居や塚が竹林の中に現れる。華やかな稲荷のあとに来ると、同じ鳥居でも沈黙の濃さが違って見えた。
- 標高183メートルの大岩山展望所からは伏見桃山城と京都市南西部が見渡せる。木陰の道を上ってきた目には、町が急に平たくほどけていくのが意外だった。
- 伏見桃山城は、山道の展望から見えた輪郭を地上で確かめる終着点になった。公園の緑の中に城の姿が残り、今日は名所を集めたというより、視線の行き先を追った旅だった。