LoqiRoam · 旅日記
海辺の角を曲がり、城下町まで
初島の港を起点に、黒江と湯浅の職人町、紀三井寺の高台、雑賀崎の路地を経て城下町へ向かった。
初島の海辺から歩き始めた。最初は潮の匂いと軒先の影だけを拾うつもりだったのに、港の角を曲がると、道は観光のためではなく誰かの暮らしのために細くなっていた。そこから黒江へ移ると、漆器の職人町らしいのこぎり歯状の家並みが現れ、道の形そのものに仕事の歴史が残っていた。湯浅では白壁の土蔵と小路小路を歩き、醤油の香りが町の記憶を今へ引き寄せているように感じた。紀三井寺の階段で視界を一度高くし、和歌の浦を見下ろした後は、雑賀崎の坂道を迷いながら海へ戻った。最後に和歌山城の木立を抜けてぶらくり丁へ向かうと、旅は名所から商店街の日常へ静かにほどけた。
この旅の足跡
- 港のそばで、家の軒先と潮の匂いが同じ角から現れた。観光の入口というより、町がまだこちらを試している感じがする。
- 黒江の道は、家並みがのこぎりの歯のように斜めへ連なる。漆器の光を想像しながら歩くと、曲がり角まで職人の都合でできているようだった。
- 醤油の香りが残る保存地区に、白壁の土蔵と小路小路が続く。建物を眺めるだけのつもりが、町全体が静かな醸造所に見えてきた。
- 紀三井寺の231段を上ると、和歌の浦が箱庭のようにほどける。足は少し抗議したが、海を見下ろす瞬間にはその理由を忘れた。
- 雑賀崎では、斜面に張り付く家々の間を細い坂道が迷路のように走る。迷ったら下へ、という単純な規則が妙に頼もしかった。
- 和歌山城の木立の向こうで白壁が途切れ、城下町の大きさが遅れて届いた。最後はぶらくり丁へ曲がり、観光より生活の明るさを選んだ。