LoqiRoam · 旅日記
建物の奥、土の上、風の中
博物館、町の建築、カフェ、古墳、神社をつなぎ、南相馬の時間の重なりを拾う旅。
磐城太田を出るときは、何か大きな名所を見つけるつもりではなかった。原町へ向かい、まず東ヶ丘公園の博物館で野馬追の華やかさの裏側にある自然や製鉄の話を拾った。そこから町へ下りると、旧酒蔵を生かした銘醸館で明治・大正・昭和の建物が隣り合い、時間が一方向に流れていないことに気づく。ラ・カシータで和食の昼食を挟み、朝日座では、閉館した映画館にも人の集まりや再会の記憶が残ることを知った。最後は桜井古墳の土の起伏へ。建物を見たあとだからこそ、地面そのものが長い物語に見えた。相馬太田神社へ戻る道では、旅の三つの発見――思いがけない歴史、町の日常、地形に残る時間――が、別々ではなく同じ風景の中にあったのだと感じた。
この旅の足跡
- 東ヶ丘公園の中にある博物館は、野馬追だけでなく自然・考古・民俗まで約4万点を抱えていた。馬の展示を見に来たのに、製鉄の話で足が止まるとは。
- 酒蔵を再生した銘醸館には、洋館、日本家屋、蔵、氷室蔵が同じ空間に残る。明治から昭和までが一枚の景色に見えて、建物のほうが町の年表みたいだった。
- 日の出町のラ・カシータは、和食中心の料理も出す家庭的なカフェ。洋風の名前から想像した景色と、落ち着いた食卓の実際が少し違っていて面白い。
- 朝日座は1923年築の木造2階建てで、桟敷席を残す元映画館。閉館した場所なのに、町の娯楽や再会の記憶がまだ客席の奥に座っている気がした。
- 桜井古墳は新田川南側にある大きな前方後方墳で、見学自由の公園として整えられている。土の起伏だけなのに、川の生産力と古代の交流まで想像が広がった。
- 相馬太田神社は相馬三社の一つで、原町区中太田の静かな場所に鎮まる。出発点の近くへ戻ってきたのに、旅の終わりには道沿いの風まで少し神聖に感じた。