LoqiRoam · 旅日記
朱色から水の銀へ
稲荷の朱色を起点に、鳥居、山の緑、寺院の庭、水辺の銀へ色の変化を追った。
稲荷駅を出ると、朝の町はまず朱色で迎えてくれた。楼門の赤は力強く、そこから続く鳥居は木漏れ日を受けるたびに明るさを変えた。歩き進むほど、狐の像や山を拝む場所の静けさが前に出てきて、にぎやかな駅前と同じ一日の中に別の時間が流れているようだった。少し山道へ入ると、土の茶色と深い緑が増え、色を集める旅なのに、色の少ない場所がいちばん心に残った。その後は東福寺へ移り、回廊や庭の砂、苔の緑を眺めた。最後に鴨川へ着くと、水面が夕方の空を薄い銀色に変えていた。朝の朱色を追いかけて始まった旅は、色が消えるのではなく、次の景色へ渡されていくことを教えてくれた。
この旅の足跡
- 大きな楼門の朱色が朝の空にくっきり浮かび、金具の細部まで光っていた。古い門なのに入口の空気は元気で、ここからどんな色が続くのか楽しみになった。
- 鳥居の朱色が何本も重なり、木漏れ日がすき間ごとに違う明るさを作っていた。同じ赤の道なのに、歩くたび表情が変わるのが不思議だった。
- 奥社奉拝所のあたりでは人の声が少し遠くなり、狐の像の表情がよく見えた。山を拝む場所だと知って、鳥居の先にさらに山全体の気配があることに驚いた。
- 石段の脇では朱色より土の茶色と濃い緑が目立ち、山の中へ来た感じが強くなった。駅前の色を集めているのに、色の少ない場所がいちばん深く残った。
- 東福寺では木の回廊と庭の砂、苔の緑が朱色とは違う静かな組み合わせを見せていた。方丈を四方から庭で囲む構成を知り、景色の切り取り方に感心した。
- 鴨川の水面は夕方の薄青を銀色に変え、川べりには人がほどよい間隔で座っていた。朝から追った朱色が最後に空へ溶けて、集めることは手放すことでもあると気づいた。