LoqiRoam · 旅日記

影の深さを歩く

市場、文化建築、川辺、九十九島をつなぎ、石岳の夕景へ向かう旅。

佐世保駅から歩き始めると、旅はまず戸尾市場の暗い通路に沈んだ。防空壕を使った店の奥から、海産物や日用品の気配がこぼれている。そこを抜けて島瀬美術センターへ入り、街の光をいったん遠ざけた。展示室で目が慣れた頃、1923年の凱旋記念館へ向かう。戦後にはダンスホールや映画館にもなった建物は、役目を変えながら立ち続けていた。佐世保公園では、川沿いのクスノキが古い影を芝生に落としていた。午後はバスで鹿子前へ出て、ビジターセンターの展示から九十九島の細かな輪郭を知る。最後に石岳へ上がる。海と島と造船の景色が、夕方になるほど一枚の地図ではなくなっていく。島影は遠ざかるのではなく、光の中で深くなった。

この旅の足跡

  1. 防空壕をそのまま使った店が今も営業し、戸尾市場には海産物や青果が並ぶ。暗い横丁なのに、生活の気配が妙に明るくて驚いた。
  2. 島瀬町の美術センターは10時から18時まで開館し、街の中心にある。外の強い日差しから入ると、展示室の影が時間をいったん止めてくれた。
  3. 1923年開館の凱旋記念館は、戦後にダンスホールや映画館として使われ、今は市民文化ホールになっている。壁の無言の履歴が長い。
  4. 佐世保川沿いの公園には、樹齢100年を超えるクスノキの巨木群がある。軍港の街のすぐ脇で、葉影だけがゆっくり揺れていた。
  5. 九十九島ビジターセンターは鹿子前町にあり、常設展示で島々や西海国立公園の自然を紹介している。無料の展示が、海へ向かう想像力を育てる。
  6. 標高191メートルの石岳展望台は360度の眺望を持ち、8月の日没は19時21分の目安。島々の影が海へ長く伸びる時刻を選びたい。
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