LoqiRoam · 旅日記
影は場所ごとに速度を変える
宮の沢から河畔と歴史の場所を経て、農試公園で多様な影の速度を眺める旅。
宮の沢では、まず甘い意匠の建物と庭を見た。白い壁に落ちる影は輪郭がくっきりしていて、旅の始まりにふさわしいほど整っていた。その隣のふれあい公園へ移ると、景色は急に生活の側へ傾いた。芝生を横切る人の影、遊具の高低差、風に揺れる木々。観光のための影と、誰かの午後に生まれる影は、似ているようで違う。河畔では線が長くなり、川の合流点に沿って歩くうち、目は建物よりも地面の変化を追うようになった。琴似屯田兵屋では明治の木造の内側に時間が沈み、光の細い入口だけが現在を知らせていた。最後の農試公園では、池、交通コーナー、遊具、木立がそれぞれ違う影をつくっていた。ひとつの答えに着く旅ではなかった。影は場所の性格を写すのではなく、そこにいる人の速度までそっと映していた。
この旅の足跡
- 甘い名前の建物だけれど、庭に落ちる塔の影は思いのほか硬い。9時から18時まで開いていると知り、朝の光で見たくなった。
- 巨大な遊具と広い芝生が特徴の公園。隣の洋菓子の庭とは違い、ここでは子どもたちの動く影が景色をつくっていて、静かに眺めるには少し意外だった。
- 新川と琴似発寒川の合流地点にある公園。野球場やテニスコートの線が午後の地面に幾何学模様をつくり、桜の季節でなくても木々の影を想像できた。
- 琴似神社の境内の奥に、明治7年の琴似屯田兵屋が残る。公開は9時から16時、古い木造の壁に差す光を見ていると、影が記憶の形に思えてくる。
- 農試公園には、ちゃぷちゃぷ池や交通コーナー、トンカチ広場など用途の違う場所が集まる。遊具と木立と舗装路の影が混ざり、終着なのに景色が一つに決まらない。