LoqiRoam · 旅日記
水の道、岩の寺、木の目印
生活道から上市の歴史、大岩山の磨崖仏、栂並木、巨木、山の眺めへと、道の性格を変えながら進んだ。
新相ノ木では、まず駅前の正解を外して、家と畑の間を走る細い道に入った。上市の町へ近づくほど、かつて物資の流通と市で賑わった土地の気配が、古い建物そのものよりも店と暮らしの距離に現れてくる。大岩川の涼しさを拾ったところで、今日は山側へ行くことにした。大岩山日石寺の巨岩磨崖仏は、静かな境内に置かれた文化財というより、岩の中から今もこちらを見返す存在だった。帰りは眼目山立山寺の栂並木へ寄り、強い岩の印象を木漏れ日でほどいた。市街地では宮川の大けやきが、かつて行商人の目印だったという話に足を止めさせる。最後に建物の密度が薄い方へ曲がると、平野の先に山を待つ余白が生まれた。最短距離ではなかったが、曲がった分だけ土地の時間が増えた旅だった。
この旅の足跡
- 新相ノ木を出て最初に曲がった道は、観光地らしい顔を見せない。けれど家々の間に田畑と山の明るさが混じり、駅名より先に町の暮らしが見えてきた。
- 上市の町は、かつて物資流通の中心として栄えたという。今の通りを歩くと、派手な旧市街ではなく、店と家が近い距離で続く感じにその名残を探したくなる。
- 大岩川のそばへ出ると、平野の道とは違う湿った涼しさがある。水は目立たないのに、道の向きや木陰の濃さまで決めているようで少し驚いた。
- 大岩山日石寺では、凝灰岩の巨岩に不動明王などが半肉彫りで刻まれている。静かな境内なのに岩そのものが強く語り、六本滝の修行の気配まで想像させた。
- 眼目山立山寺の参道には約300メートルの栂並木が残り、樹齢400年級の木もある。木漏れ日の下では、寺へ向かう道そのものが目的地になっていた。
- 宮川の大けやきは高さ約41メートル、目通り約9メートルという大木。かつて行商人の目印だったという話を知ると、木が町の案内板だった時代を歩いてみたくなる。
- 最後は町の建物が少しずつ低くなり、富山平野の向こうへ視線が抜ける場所を選んだ。晴れれば立山連峰が生活景観に溶け込むというが、雲の日も山を待つ余白がある。